17回目となった「メセナアワード2007」では、全国での公募に対し、計142件(122社・団体)の応募がありました。2007年9月に行われた外部の専門家からなる審査委員会により、受賞企業・活動を決定しました。

 

■ メセナ大賞部門

企業・財団名/受賞活動名
メセナ大賞 (株)資生堂
資生堂ギャラリーの運営
地域文化振興賞 北野建設(株)
信州に根ざした「北野美術館」および「北野文芸座」等の芸術文化活動
企画運営賞 (財)東京オペラシティ文化財団
東京オペラシティにおける音楽・美術事業の企画運営
バックステージ支援賞 日本生命保険(相)/(財)ニッセイ文化振興財団
舞台芸術を表と裏から支える、総合的な支援活動
体感音響賞  パイオニア(株)
「身体で聴こう音楽会」の開催および企画運営
俳壇ネットワーク賞 マルホ(株)
全国俳誌ダイジェスト『俳壇抄』の発行

 

■ 文化庁長官賞部門

企業・財団名/受賞活動名
文化庁長官賞  (財)アサヒビール芸術文化財団
アサヒビール大山崎山荘美術館の総合的な芸術振興活動

 

メセナ大賞

メセナ大賞
(株)資生堂
資生堂ギャラリーの運営
 

活動内容

資生堂ギャラリーは、初代社長の福原信三により1919(大正8)年に開設された、現存する日本最古の画廊である。銀座の店舗2階を才能ある若手作家に提供することから始まった同ギャラリーは、88年にわたる歳月のなかで数多の美術家を世に送り出し、今日もなお新たな時代の表現を求めている。
開廊以来、多くの美術家に発表の場として貸与する一方で、逸早く自主企画展にも取り組んできた。なかでも1947年に発足した「椿会」は一定期間同じメンバーで開催するグループ展で、川島理一郎や梅原龍三郎らが参加した「第一次椿会」から、現代美術の中堅からなる「第六次椿会」へと続いている。また、75年から20年間行われた「現代工藝展」の出展作家のうち半数以上が人間国宝に認定されていることからも、その先見の明が伺われよう。さらに「椿会展」ならびに「現代工藝展」では、毎回、出品された各作家の新作を購入することで創作活動を支えてきた。このコレクションを常設展示すべく、78年に静岡県掛川市に資生堂アートハウスが開設されている。
90年からは、同時代のグローバルな美術の動向に注目し、「海外新進日本人作家紹介展」や「亜細亜散歩」など、欧米やアジアのアーティストを紹介する企画を実施。2001年のビル改装で地階に移転してからも、天井高5mを超える空間を活かした多様な現代美術展を続けてきた。これらの企画展で取り上げたアーティストがその後国際展に招聘されることも多く、そうした機会にも継続的なサポートを行っている。そして06年からは、「新進美術家の登竜門」というギャラリー創設の原点に立ち戻り、初の公募展「shiseido art egg」をスタートさせた。
企業メセナの地平を拓いてきた資生堂、その根幹をなす活動として、これからも先駆者としての歩みを続けてほしい。

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「時光―蔡國強と資生堂」   撮影:桜井ただひさ

 

企業プロフィール (2007年3月現在)

本社所在地 東京都中央区
業 種 化学 
設立年 1872年
資本金 645億円
従業員数 3,344人
URL http://www.shiseido.co.jp/corp/culture/

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■ 地域文化振興賞
北野建設(株)
信州に根ざした「北野美術館」および「北野文芸座」等の芸術文化活動
 

活動内容

「建築は創造であり、芸術である」というポリシーを掲げる北野建設は、1968年、善光寺平・長野市の静かな郊外に北野美術館を設立した。長野県下でも逸早い私立の美術館で、北野家の父子二代にわたる長年のコレクションを公開したものだ。開設にあたっては美術評論家の河北倫明氏の協力を仰ぎ、開館後も引き続き作品収集に努めており、現在、日本画・洋画・彫刻・書跡・工芸品・武具類等約600点を所蔵している。同館では、これら所蔵作品による常設展を季節ごとに年4回開催するほか、ギャラリートークや、歴史講座、キッズスクールなどを実施している。
また、長野市街の本社西館を建設するにあたり、92年に「北野建設彫刻ギャラリー」を併設。泰西の名作のほか、県出身の彫刻家を含む邦人作家の秀作を設置して広く公開している。
さらに94年には、善光寺の表参道沿いに「北野文芸座」を開設。多くの参拝者が集い、芝居小屋等が軒を連ねたかつての善光寺門前を彷彿とさせる佇まいを創り出した。意匠を凝らした建物の外観は歌舞伎座風で、大屋根には日本瓦を頂き、唐破風の曲線が美しい銅板葺きの屋根を備えている。舞台周りの設計に際しては、歌舞伎界の重鎮・尾上梅幸の意見を取り入れ、385席という小規模な施設ながら、「役者の息吹を肌で感じられる」本格的な伝統芸能上演の場をつくりだした。開設以来、歌舞伎、文楽、能、狂言、落語、日本舞踊等の自主企画を実施し、年間約20公演を手掛けている。
2003年には、文芸座の並びに、北野美術館の分館として「北野カルチュラルセンター」をオープンさせた。斬新な外観と充実した設備を整えた多目的スペースがあり、さまざまな展示や演奏会、講座など、地域住民が集う文化発信拠点となっている。また昨今は、文芸座とカルチュラルセンターの連携も進められており、善光寺表参道に新たな魅力をもたらす存在として期待されている。

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北信濃の山並みに囲まれた北野美術館

 

企業プロフィール (2007年3月現在)

本社所在地 長野県長野市
業 種 建設
創業年 1946年
資本金 91億1,649万円
従業員数 549人
URL http://www.kitano.co.jp

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■ 企画運営賞
(財)東京オペラシティ文化財団
東京オペラシティにおける音楽・美術事業の企画運営
 

活動内容

新宿・初台にある「東京オペラシティ」は、芸術文化、ビジネス、アメニティの3つを融合した一大街区として1996年に誕生した。新国立劇場の建設に伴う街区開発プロジェクトで、民間地権者6社(*)により文化施設の建設が検討され、運営団体として東京オペラシティ文化財団を設立。97年にはコンサートホールとリサイタルホールが、99年にはアートギャラリーが開設された。
作曲家の武満徹を芸術監督に迎え、音楽と美術の両分野における意欲的な事業を展開。「タケミツ メモリアル」と名づけられた1,632席のコンサートホールでは、作曲コンクール「武満徹作曲賞」を毎年5月に開催している。この本選演奏会を含む音楽フェスティバル「コンポージアム」を毎年5月に開催している。また、286席のリサイタルホールでは、多彩な若手演奏家が登場する「B→C」を年10回行っている。「バッハ(B)」から「コンテンポラリー(C)」作品を軸に、演奏家が独自のプログラムを構成するものだ。他にも、子ども達にリハーサルを一部公開する「リンガリング・コンサート」や、シニア世代を対象とした「ウィークデイ・ティータイム・コンサート」など広い客層に訴えかけている。
一方のアートギャラリーは、3・4階あわせて約1,000㎡の広さを有する。年4回の自主企画展では現代美術や建築など国内外の多様な表現活動を紹介。また常設展示では、地権者である寺田小太郎氏より寄贈された近現代美術のコレクション約2,700点を順次公開している。さらに同コレクションの中核をなす画家・難波田龍起の頭文字をとって、若手作家を育成する「プロジェクトN」を手掛けている。
2006年は「武満徹没後10年特別企画」として、音楽と美術の共同プロジェクトが開催された。都市に賑わいをもたらす文化拠点として、これからも幅広い活動を展開してほしい。
※2007年現在は以下5社
日本生命保険(相)、NTT都市開発(株)、小田急電鉄(株)、ジャパンリアルエステイト投資法人、相互物産(株)

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東京オペラシティコンサートホール: タケミツ メモリアル   撮影:大窪道治

 

財団プロフィール (2007年3月現在)

財団所在地 東京都新宿区 
業 種 財団 
設立年 1995年
資本金 20億7,000万円
従業員数 27人
URL http://www.operacity.jp

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■ バックステージ支援賞
日本生命保険(相)/(財)ニッセイ文化振興財団]
舞台芸術を表と裏から支える、総合的な支援活動
 

活動内容

日生劇場は1963年、日本生命の創業70周年を記念して開設された。国内外のオペラや演劇、ミュージカル等を上演してきたが、なかでも64年から続く「ニッセイ名作劇場」は、劇団四季による子どものためのミュージカルに小学校6年生を無料招待するもので、日生劇場はじめ全国11都市を巡回している。これまでの43年間で招待した児童は665万人を超え、親子あるいは三代にわたって鑑賞した観客もいるという。
劇場の運営を担うニッセイ文化振興財団は、73年にニッセイ児童文化振興財団として設立。93年に現在の呼称に改変して以来、優れた舞台芸術作品を紹介とともに、舞台技術者の育成にも力を入れてきた。
毎年夏に催される「国際ファミリーフェスティヴァル」は93年のスタート。バレエや大型人形劇、音楽ドラマなどバラエティに富んだ内容で、親子で舞台に親しむ機会として好評を博している。また「NISSAY OPERA」シリーズでは、実力派のキャスト・スタッフによるオペラを上演し、79年より「青少年のためのオペラ教室」として中学・高校生を廉価な料金で招き、解説を交えた上演も行っている。96年からは、キャストのオーディションを行い、若いオペラ歌手の起用にも積極的だ。さらに同公演の舞台セットを用いた「舞台フォーラム」を93年から実施。演出家や技術者が現場を案内するとあって、衣装や舞台美術関係の学生などが多数参加する。
そして95年には、「ニッセイ・バックステージ賞」を創設。舞台美術の製作や技術者、演劇通訳など幅広い「裏方さん」にスポットをあて、長年にわたる功績を称えるものだ。受賞者には賞金とともに70歳からの終身年金を贈呈するなど、本業を活かした貴重な支援を行っている。
舞台芸術の愛好者を拡大する一方、舞台裏にも注目した取り組みで、総合的な活動を展開してきた。

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「裏方さん」に光をあてる「ニッセイ・バックステージ賞」。日生劇場の舞台上で贈呈式が行われる 。

 

企業/財団プロフィール (2006年10月現在)

本社/財団所在地 東京都千代田区
業 種 保険/財団
設立年 1889年/1973年
正味財産 9,000億円/15億2.826万円
職員数 62,757人/37人
URL http://www.nissay.co.jp
http://www.nissaytheatre.or.jp

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■ 体感音響賞
パイオニア(株)
「身体で聴こう音楽会」の開催および企画運営
 

活動内容

パイオニアの創業者・松本望が考案した「体感音響システム」は、椅子から音の振動が伝わることで音楽の臨場感を楽しめるものだ。このシステムが開発された80年代初頭は本格的な普及には至らなかったが、聴覚障害のある人たちから「この椅子に座ると音楽が聞きやすい」との声が寄せられた。そこである社員が、社会貢献活動に活かせないかと提案したことから、「身体で聴こう音楽会」は始まった。
メインとなる活動は、本社ロビーで月一回開かれる定期コンサートだ。プロの演奏家から音大生、ブラスバンドや社内コーラスグループまで登場する多彩な内容で、1992年にスタートして以来休むことなく続けられてきた。毎回、100名ほどのお客が集まるロビーには、普通の椅子とともに「体感音響システム」の椅子が並べられる。会場設営や司会、字幕や手話通訳も交えたコンサートの運営は、専任の事務局のほかは社員とその家族のボランティアによる。
当初は東京近辺の聴覚障害者団体等に呼びかけていたコンサートだが、活動の周知が進むにつれて外部からも協力要請が来るようになった。なかでも日本フィルハーモニー交響楽団等が主催するコンサートでは、音楽ホールに数十席分の「体感音響システム」を設置して聴覚障害の方々を招いている。
さらに、ろう学校での演奏会や、聴覚障害者を対象とした音楽イベントにも機材を貸出し、そのオペレーションも行う。協力依頼が増えてきたことを受け、聴覚障害者のニーズを取り入れた運搬も容易な改良型を新たに製作し、合計65台のシステムをフル活用しての対応だ。活動は海外にも広がり、昨年はベルギーでの演奏会を実現させた他、シンガポールやアメリカでも継続開催している。
今後も、パイオニアの企業理念「より多くの人と、感動を」を具現化する活動として、音楽を楽しむ人の輪を広げていくことだろう。

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本社ロビーで毎月開催される「身体で聴こう音楽会」

 

企業プロフィール (2007年3月現在)

本社所在地 東京都目黒区
業 種 電機機器(音響・映像)
設立年 1938年
資本金 490億4,850万円
従業員数 3万7,622人(連結ベース)
URL http://pioneer.jp/citizen/karadadekikou/

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■ 俳壇ネットワーク賞
マルホ(株)
全国俳誌ダイジェスト『俳壇抄』の発行
 

活動内容

マルホでは30年以上前から、俳句のイベントや句集の発行、俳句関連行事への協賛等を続けている。特に創業70周年で終戦40年目にあたる1985年には、終戦日の思いを詠んだ句を全国から募集し、記念の句集『昭和20年8月15日を詠う―昭和万葉句集』を発行して大きな反響を呼んだ。また、各種団体が主催する俳句大会への協賛も行っており、幾つかの大会では優秀な作品を表彰する「マルホ賞」も提供している。
こうした支援の背景には、長年社長を務めた高木二郎(現・取締役名誉会長)が俳誌『青門』を主宰し、「青二郎」の俳号で活動しているという経緯があるが、社内にも句会を設けて理解を深めており、俳壇支援活動はマルホの文化事業として定着している。
94年には、全国の俳句雑誌(俳誌)をダイジェスト版として一冊にまとめた『俳壇抄』を創刊。全国に約900あるといわれる俳誌の作風や、現在の俳句の動向がわかり、俳壇の発展につながればと構想されたものだ。初年度は季刊で発行、以降は5月・11月の年2回発行で、550余の俳誌が投稿を続けている。1誌あたり1ページを割き、作品12句とともに各誌の近況や選評などを掲載。毎号7,500部を発行し、掲載各誌のほか、全国の俳句団体や新聞社、図書館、大学にも贈呈している。また、同社のホームページでも俳誌名が検索できるようにし、それぞれのサイトとリンクしている。
さらに『俳壇抄』では研究論文を掲載したり、「俳人協会」「日本伝統俳句協会」「現代俳句協会」という傾向の異なる団体の座談会を企画するなど、俳壇の流派や結社を超えた交流の場を提供している。同好者からの支持だけでなく、俳句史や俳壇史の研究に欠かせないと好評だ。
個々の団体では成しえなかった冊子の発行を通じて、俳壇の横のネットワークをつくった功績は大きい。

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年2回発行の『俳壇抄』。B5版、550~600ページの厚さとなる

 

企業プロフィール (2007年9月現在)

本社所在地 大阪府大阪市
業 種 医薬品
設立年 1949年
資本金 3億8,253万6,000円
従業員数 874人
URL http://www.maruho.co.jp

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文化庁長官賞部門

■ 文化庁長官賞
(財)アサヒビール芸術文化財団
アサヒビール大山崎山荘美術館の総合的な芸術振興活動
 

活動内容

アサヒビール大山崎山荘美術館は、関西の実業家・加賀正太郎が建てた山荘を再活用して、1996年に開館した。自然環境に恵まれ、天王山の戦いの舞台となるなど歴史的にも重要な、京都・大山崎町の高台にあり、大正から昭和初期にかけて建てられた極めてユニークな建造物である。地元の要望に応えアサヒビールが取得し、建築家・安藤忠雄の監修により保存して活用することとなった。
主なコレクションのひとつは、民藝運動の熱心な支援者であったアサヒビール初代社長の山本為三郎が収集したバーナード・リーチや濱田庄司、河井寛次郎らの陶磁器類である。あわせて、モネの名画《睡蓮》をはじめ、ピカソやジャコメッティ、イサム・ノグチなど20世紀西洋美術の優品を所有する同社では、両者を美術館で順次公開している。また、現代美術家が、こうしたコレクションとコラボレーションする展覧会も開催。アーティストが美術館の建物や庭、所蔵品等を新たな視点で捉え直して作品を制作するという意欲的な企画で、毎回、独自の内容が好評を博している。
さらに、地域や社会との多面的な接点とネットワークによる美術館活動を目指す同館では、教育機関や住民との連携にも積極的に取り組む。京都造形大学や神戸大学とは、美術展の企画立案から協力し、制作プロセスを共有することでアート・マネジメントを学ぶ学生に実践の場を提供。展覧会にあわせてのワークショップや双方向型のギャラリーツアーなど多彩な参加型プログラムを行うほか、地域資源に注目したアート・プロジェクトを手がけてきた。また、地元ボランティアグループによるツアーや、中学・高校生の職場体験の受入れなど、地域との密接な交流を図っている。
今後も、大学や住民との協働により、地域とともに成長する美術館活動を続けてほしい。

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財団プロフィール (2007年3月現在))

財団所在地 東京都墨田区
業 種 財団
設立年 1989年
正味財産 5億5,000万円
職員数 8人
URL http://www.asahibeer-oyamazaki.com

 

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