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 「メセナ アワード2013」 受賞企業・団体代表者と選考委員

2013年11月21日(木)、「メセナアワード2013」贈呈式をスパイラルホール(東京・表参道)にて開催しました。当日は、受賞活動のご関係者、「メセナアワード2013」応募各社・団体のみなさまをはじめ、企業メセナ協議会会員、関係者、報道等、総勢270名の方々にご出席いただきました。
贈呈式では各受賞活動の紹介につづき、青柳正規文化庁長官より「文化庁長官賞」、企業メセナ協議会 福地理事長より「メセナ大賞」(1件)および「メセナ賞」(5件)の贈呈をおこないました。 受賞企業・団体の代表者はそれぞれ受賞の喜びをスピーチされ、選考委員からはそれぞれ選考評が述べられました。贈呈式終了後は、同会場にて記念レセプションを実施しました。
 

受賞スピーチ
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メセナ大賞:
全日本製造業コマ大戦協会
会長 緑川賢司様

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映画の地球儀賞:
岩波不動産株式会社
代表取締役 岩波 力 様

 
 
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学びの玉手箱賞:
SCSK株式会社
代表取締役社長 兼 COO 大澤善雄様

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対話でアート賞:
株式会社損害保険ジャパン/公益財団法人損保ジャパン美術財団
理事長 佐藤正敏 様

 
 
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タムタムしま賞:
トヨタ自動車株式会社
常務役員 小西工己 様

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光る町なみ賞:
村上町屋商人会
会長 吉川真嗣 様

 
 
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文化庁長官賞:
三菱地所株式会社
取締役社長 杉山博孝 様

         

 

選考委員スピーチ
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赤池 学氏

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河島伸子氏

 
 
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椹木野衣氏

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福岡伸一氏(メッセージ)

 
 
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松岡正剛氏

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茂手木潔子氏

 

 

「メセナアワード2013」メセナ大賞トロフィー

 

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                 「メセナ大賞・メセナ賞」トロフィー 川上 幸子

 

メセナ大賞のトロフィーは、若手現代美術作家に依頼して、3年間、オリジナルのトロフィーを制作いただいています。
本作品は、きめ細かにドローイングを施したアクリル板が、3層重ねられています。
作品テーマはドイツ語で「Licht」(リヒト)。光や明るさ、そして希望を意味します。
トロフィーのタイトルは、メセナ大賞は「朝日」と書いて「あした」、メセナ各賞は、「しののめ」です。
「いま・これからの未来に明るい光が差すように」との願いが込められ、夜明けを迎える空の情景を時系列に追ったイメージが描かれています。
これらのトロフィーはそれぞれ独立しながらも連作となっており、メセナ大賞は3年間のトロフィーがひとつの絵柄となります。同じ年に受賞したメセナ各賞のトロフィーもひとつの絵柄をかたちづくります。
そこには、芸術文化を通して人々が、分野を超え時を超えてつながり、また別の大きな夢を描けるように、との願いが込められています。

受賞スピーチ

■ メセナ大賞: 全日本製造業コマ大戦協会 会長 緑川賢司様
 

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非常に価値のある賞をいただき、たいへん喜んでおります。この賞により、我々中小企業にもスポットライトが当たるきっかけをいただけたと思います。産業立国やものづくり立国と称される日本は、ものをつくらない限り付加価値を生み出せないでしょう。これを担うのが町工場だと思います。しかし、町工場には就職したくないという雰囲気が、若い人たちにはあります。それをいかにつなぐか。経営を頑張っている人たちが、ものづくりの楽しさを世間に伝え、若い人たちがそれを顧みて、将来働いてくれる。これが全日本製造業コマ大戦の一つの思いです。この思いを皆さまに共有いただき、すでに二回の全日本大会を行うことができました。
実は私は役者をしています。最近出演した芝居によい台詞があったので皆さんにお伝えします。
「私の話を聞いてください。確かに可能性は低い。でもゼロではないんです。ゼロではない限り、希望があるんです。大切なことは信じることです。希望はある、信じることです。」
皆さん、中小企業経営者にとって一番辛いことは何だと思いますか?それは、働くことに希望を失ったまま、一生働き続ける従業員の姿を見ることです。肝心なのはどう生きたか、何をするか、何を残せたかだと思います。そして希望とは、よりよく生きようとする意志のことです。我々全日本製造業コマ大戦に関わる皆が意思を抱き、希望を持てる存在でありたいと思います。

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■ 映画の地球儀賞: 岩波不動産株式会社 代表取締役 岩波 力 様
 

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このたびは「映画の地球儀賞」をいただき、ありがとうございます。
私の父で先代の社長でした岩波雄二郎が岩波不動産を創設し、神田神保町交差点にオフィスビルを建設してから45年になります。10階にホールを創設したのは、一つには当時の千代田区長から、将来地下鉄が3線通るので文化施設をつくってほしい、という依頼があったことと、もう一つは、岩波書店の創業者で祖父の茂雄が生前、親しかった先代の中村吉右衛門さんと新劇の山本安英さんに劇場を作る約束をしていたことによります。戦争を経て1968年2月、多目的ホールとして、200数席の小さな岩波ホールがスタートしました。
前社長の「よい仕事をすれば必ずわかってもらえる」という言葉に励まされ、義理の妹・髙野悦子が、当時は珍しかった女性の総支配人として映画・音楽・演劇などさまざまな企画を行いました。74年に始まった「エキプ・ド・シネマ」は、現在までに213本、44カ国の作品を公開しております。小さなホールを運営するのはたいへん難しいといわれながらここまで続けてこられたのは、多くの方々とお客さまのご支援の賜物と感謝しております。今後とも岩波ホールは、文化の発信地として活動を続けて参ります。どうぞ温かい目で見守っていただきたいと思います。
亡くなりました父、岩波雄二郎と叔母の髙野悦子もこの度の受賞をたいへん喜んでいると思います。本日はどうもありがとうございました。

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■ 学びの玉手箱賞: SCSK株式会社 代表取締役社長 兼 COO 大澤善雄 様
 

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「学びの玉手箱賞」というたいへんすばらしい賞をいただき誠にありがとうございます。協力していただいた皆さんと、この受賞の喜びをわかち合いたいと思います。現代の子どもたちは、核家族化や少子化、そして地域活動が弱まり、人間関係が薄くなっていく環境下で多感な時期を過ごす一方で、グローバルな競争社会でデジタルネイティブとして生きています。いま子どもたちに必要なことは、価値観が異なる人たちと一緒になり、一つの新しいものを創っていくという作業とそれを支えるコミュニケーション能力、そして創造性にあふれた思考力ではないかと我々は考えます。
CAMPは、子どもたちにぜひこのような力を身につけてもらおうと思い、2001年から活動してまいりました。日本の未来を担う子どもたちを育てていくのに、我々企業も積極的に参加し、その役割を果たしていかなければならない時代がやって来ていると、強く感じます。
SCSKは2年前に、住商情報システムとCSKが合併して生まれました。「夢ある未来をともにつくる」というのが我が社の経営理念です。CAMPというこの活動を今後も続けながら、子どもたちとともに「学びの玉手箱」から次々に出てくる、新しい夢ある未来を一緒に描いていきたいと考えます。本日は誠にありがとうございました。

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■ 対話でアート賞: 株式会社損害保険ジャパン/公益財団法人損保ジャパン美術財団 理事長 佐藤正敏 様
 

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「対話でアート賞」をいただきまして本当にありがとうございます。我々の活動を支えてくださっている皆さまにも御礼申し上げます。私どもは新宿区と協働で、子どもたちのための美術鑑賞教育支援活動を2007年から始めました。この活動は絵画鑑賞を楽しみながらコミュニケーション能力を高めていくという活動です。
プログラムには、3つのポイントがあります。1つ目はこのプログラムが休館日に行われていることです。休館日なら子どもたちが絵の前に座り、自由に話す事ができます。2つ目は、鑑賞前の出前授業です。ガイドスタッフが各小・中学校に出かけ、作品を見る練習をします。そして約1週間後、5~6人の子どもたちにガイドスタッフがつくというグループ編成で、美術館で再会します。事前に会って子どもたちの気持ちを引き出す。これが大きなポイントです。3つ目はこのガイドスタッフがボランティアであるということです。約60人のガイドスタッフの皆さんは公募で集まり、養成講座を受けています。
現在、他の自治体や社会人の方々からぜひ対話型美術鑑賞をやりたい、受けてみたいというお話もいただいています。今回の受賞を機に更に活動を展開し、この賞に恥じない活動をこれからも続けていきたいと思います。

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■ タムタムしま賞: トヨタ自動車株式会社 常務役員 小西工己 様
 

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本日はこのような栄えある賞をいただきまして誠にありがとうございます。
仕事の話になりますが、昨日、東京モーターショーが始まりました。4年前はリーマンショック直後のためお客さまが少なく、非常に暗い思いがしました。その2年後、少し前が見えてきたという時に震災が発生し、さらにタイでの洪水によりサプライチェーンが寸断された状態で、モーターショーを迎えました。そして今年、久しぶりに未来を見つめた車づくり、メセナも含めた企業活動を進めていくことができる状態に来たという感じでおります。トヨタでは以前から、さまざまな地域を訪れてアートマネジメント講座を開いたり、アートマネージャーの育成を続けて来ました。ネットという新しい手段を得て一気に情報が広がり、より多くの方にご参加いただける状況になりました。これからもアートマネージャーの育成を進め、地域の皆さま方とともにアートを育ててまいりたいと思います。
2020年には、東京オリンピックが開催されます。我々自動車メーカーとしても、世界各国から来られるお客さま・選手の皆さまに、東京は、日本はすばらしいのだと思っていただけるような、夢の交通システムの実現に向けて努力したいと思います。同時に、日本は文化という国境を越えるすばらしいアセットを持っています。日本国内のみならず世界各地に向けて、ご期待に添えれば幸せに思います。昨年の「支援のこころ賞」に続き、今年も2年連続でこのようなすばらしい賞をいただきまして、本当に嬉しく思います。本日は誠にありがとうございました。

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■ 光る町なみ賞: 村上町屋商人会 会長 吉川真嗣 様
 

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今日は本当にありがとうございます。我が町は商人の心意気で元気にする。そう志を立て、知恵と勇気と情熱を持ち、工夫を凝らして町づくりをしています。
町に近代化計画が持ち上がった時、賛成が多数でした。しかし、町屋を活かして、元気を失っているこの町を活性化させよう、そうすれば古いものを大切にしようと市民の意識が変わり、行政の進む方向が見直される日が必ず来る。その思いで続けてきました。町屋の生活空間の公開、さらに「人形さま巡り」や「屏風祭り」という催しにより、経済的な効果が表れました。それだけではなく、お年寄りが活躍したり子どもたちが町の案内役をしたりと、本当に町が一丸となって動くがごとく変わりました。そして我々の活動は、黒塀プロジェクトや町屋の外観再生プロジェクトという、景観づくりに発展しています
その一方で今、空き家になった町屋が更地になるという問題が起こっています。この問題に我々はこれから挑みます。全国にないような市民での助成制度をつくり、すばらしい人たちが住めるような空き家にし、町を魅力的にしていくという取り組みです。なかなか簡単なことではありませんが、今日は皆さまの前でこれをなし遂げてみせることを宣言します。そして、これが全国の同じような問題で悩んでいる地域の光となるよう、がんばってまいります。

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■ 文化庁長官賞: 三菱地所株式会社 取締役社長 杉山博孝 様
 

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文化庁長官賞をいただきまして、本当にありがとうございます。この受賞は、2002年のスタートからご支援いただいている社会福祉法人東京コロニー、そしてご指導いただいた審査員の皆さまによるご尽力の賜物です。皆さまへの感謝とともに、皆さまの代表として三菱地所が賞をいただいたという思いでおります。この活動を通じ、すでに多くの方が「アートビリティ」の登録作家として活躍されていることはたいへんうれしく、これからも障がいのある子どもたちの可能性を応援していきたいと思います。
私自身も審査員として毎年作品を拝見していますが、感性にあふれたのびやかな絵ばかりです。その中から50作品を選ぶのは本当に難しいと感じます。審査員だけが作品を見るのはもったいないので、社員が審査に加わったり、全国6カ所で作品展を開いたりしています。作品展では、本当に多くの方々からご感想をいただきます。そうした励ましのお言葉を、制作した子どもたちにお伝えすることで、さらに頑張っていただければ幸いに思います。
今回このようなたいへんすばらしい賞を受賞できたのは、ますますメセナ活動を頑張れ、という励ましであると私たちは感じています。引き続き、メセナ活動を続けてまいります。本当に今日はありがとうございました。

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選考委員スピーチ

■ 選考委員 赤池 学氏
 

受賞者の皆さま、本日は本当におめでとうございます。
僕は2つの視点で選考しました。1つ目は、見出した社会課題の存在をきちんと周知、啓発している活動であるか。2つ目は、その課題を解決する具体的なシステムが示されているかどうかです。
今年のメセナアワードの一番大きな意義は、ものづくりこそ日本が守り続けなければならない文化であるというメッセージを社会に発信できたことだと思います。
実は受賞企業の皆さんはすべてものづくりにかかわっています。ものづくりの基盤となるクリエイティビティというものをいかに子どもの頃から涵養していくのか。SCSK、損保ジャパン、三菱地所の取り組みは、こうしたものづくりの始まりをサポートしている活動です。さらに、トヨタ自動車の「ネットTAM」は、クリエイターたちの社会参画の機会を創出し、彼らをビジネスに繋いでいくという非常に重要なスキームを形にしており、とても大きな意味があると思います。村上町屋商人会の活動は、町屋の中に継承されているものづくりの軌跡を公開していく取り組みです。新しいオープンハウスを通じた町おこし活動のモデルとして、ぜひ全国に広まってほしいと思っています

【プロフィール】
ユニバーサルデザイン総合研究所所長。1958年東京都生まれ。筑波大学生物学類卒。社会システムデザインを行うシンクタンクを経営し、ソーシャルイノベーションを促す、環境・福祉対応の商品・施設・地域開発を手がける。また、製造業技術、科学哲学分野を中心とした執筆、評論、講演などを行う。2011年より(一社)環境共創イニシアチブの代表理事も務める。

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■ 選考委員 河島伸子氏
 

今年度から選考に関わらせていただき、たくさんの企業メセナの活動について深く学ぶことができました。あらためて日本の企業メセナが非常に多様性に富むものであると実感しました。特に大賞受賞の活動をはじめ、企業メセナの定義自体がまちづくりや社会創造に広がっているということをまさに象徴する活動も受賞されたことに大変感銘を受けております。また私自身、文化政策の研究をしており、子どものコミュニケーション能力や創造性をメセナ活動を通じて育もうという活動は、今後大事な方向性であると思いました。
どの受賞活動にも共通しているのは、メセナを通じて社会の変革、社会創造にかかわっていこうという非常に高い理念があることです。その理念を実現するために、社員が現場のアート担当者たちと問題意識を共有しながら、自分たちとしては何ができるのだろうと試行錯誤された結果が、本日の受賞に結実したのだと思います。長年企業メセナ活動の取材を続けていますが、惜しくも賞に漏れたどの活動を訪ねても、涙が出るほど感激するようなお話をうかがうと思います。
今日は、企業メセナにおいて日々努力を続けられているすべての方に拍手を送り、今後の応援の気持ちをお伝えしたいと思います。

【プロフィール】
同志社大学教授、文化経済学会<日本>副会長。東京大教養学科国際関係論専攻卒。英国ウォーリック大学文化政策研究センターリサーチフェローを経て現職。PhD(文化政策学、英ウォーリック大学)。専門は、文化経済学、文化政策論、コンテンツ産業論。著書に『コンテンツ産業論』、共著に『変貌する日本のコンテンツ産業』『イギリス映画と文化政策』『アーツ・マネジメント」など。

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■ 選考委員 椹木野衣氏
 

大賞を受賞されたミナロの緑川会長から「メセナという言葉を実はよく知らなかった」というお話がありましたが、実際、以前に比べてメセナという言葉をあまり聞く機会がなくなってきていると思います。
ところが、私の率直な感想としては、むしろ日本のメセナはますます活発に盛んになってきている。そして、ちゃんと地に足をつけ末永く続くかたちになって、ますます発展してきているという印象を受けました。2日間の選考会では、メセナとは一体何なのかという問いかけを常に念頭におきながら、意見を交わしています。その中でメセナの定義自体が芸術文化支援から芸術・文化振興による社会創造に動いてきていることが明らかになりました。それにふさわしい選考ができたのではないかと自負しております。
選考会では活動についての資料を精査しますが、全日本製造業コマ大戦協会の資料に、小さなコマがありました。何気なく回すと、驚くほどきれいに回るんですね。選考が終わる直前くらいに少し傾き始めてそのまま回り続けるという驚くべき回転力、持続力に、大変感銘を受けました。
全日本製造業コマ大戦協会は今後世界大会も行われていくということですから、いずれオリンピックの正式競技になることを目指して頑張っていただきたいと思います。
今日は皆さま、どうもおめでとうございました。

【プロフィール】
美術批評家、多摩美術大学教授。1962年埼玉県秩父市生まれ。1990年代初頭より美術を中心に多方面にわたる評論活動を始める。著作に『シミュレーショニズム』、『日本・現代・美術』、『反アート入門』、『太郎と爆発 来たるべき岡本太郎へ』ほか多数。キュレーションした展覧会に「日本ゼロ年」(水戸芸術館、1999-2000年)ほかがある。

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■ 選考委員 福岡伸一氏
 

(メッセージ)
皆さまこんにちは。私は今、米国ニューヨーク市のロックフェラー大学に研修留学中です。今回はスカイプ中継によって選考に参加させていただきました。今回のメセナアワードのエントリー、例年にも増して大変な力作ぞろいで、選考会では議論が熱心に交わされました。特に、「企業メセナとは一体何なのか」というそもそも論にまでさかのぼって議論が深まったことは、大変良かったと思っています。そのような討議の結果、「企業メセナ」という言葉がふつう指し示す意味、つまり企業がその本業以外に文化、芸術振興という枠にとどまらず、もっと広く、新しいかたちの取り組みや未来志向の活動も積極的に取り上げ、応援していこうということになりました。
その結果選ばれたのが、今回の受賞者の皆さまです。映像、絵画、地域文化、芸術振興などバランス良く選出されたことになりました。私個人としては、「学びの玉手箱賞」、「対話でアート賞」、「文化庁長官賞」により、特に未来世代の子どもたちのための活動が表彰されたことを大変うれしく思いました。
 皆さまどうもおめでとうございます。


【プロフィール】
生物学者、青山学院大学教授。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学研究員、京都大学助教授等を経て現職。サントリー学芸賞・中央公論新書大賞受賞の『生物と無生物のあいだ』、『動的平衡』など「生命とは何か」をわかりやすく解説した著作多数。他に『世界は分けてもわからない』『フェルメール 光の王国』、近著『やわらかな生命』など。

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■ 選考委員 松岡正剛氏
 

今日は、兄弟と見まごう和服の受賞者二人が揃って、呉服屋の倅だった私にとっては、とても嬉しい思いです。 「光る町なみ賞」の村上も1,2度行ったことがありますが、国道沿いだけにお店が並ぶような感じだったのが、こんなふうに変わってきたのかと、喜んでおります。
グローバリズムの時代の中で浮かび上がる、ナショナルというよりもパトリオットなもの、それぞれは村や町が立ち上がってやっているということは申し上げるまでもないと思います。そうした活動の中にメセナやCSRの目が届いていったのがこの1,2年の新しい動きだろうと思います。
一方、そうした大きな活動とともに、日本はもともと「小さきもの」を大事にしてきました。今日も障がいのある子どもたちの絵、あるいはコマ大戦の活動などをとっても、小さきものが大事にされています。これも、これからのメセナ活動で重要でしょう。  日本のクリエイティビティは、「合わせ」、「重ね」、「競い」、「揃い」というように進んでいきます。歌合せがそうであるように、最初から競わないで、まず合わせようとする。コマもそうです。それで競っていく。合わせるために技術が発達する。そしてその後で揃う。百人一首のように揃えていくというのがおよそ日本的な文化、技術の方法であり、今年はそういうものが見えてきたかなという感じがいたします。どうもおめでとうございました。

【プロフィール】
編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。1944年京都生まれ。工作舎設立、オブジェマガジン『遊』編集長、東京大学客員教授、帝塚山学院大学教授を経て現職。情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトに携わる。日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。著書『松岡正剛千夜千冊(全7巻+特別巻)』『知の編集工学』『日本という方法』『知の編集術』ほか多数

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■ 選考委員 茂手木潔子氏
 

皆さま、本日は本当におめでとうございました。受賞された皆さまのご挨拶をうかがっていて、素敵な方たちに賞を差し上げることができたということを実感いたしました。このような選考に加われたことを大変光栄に存じます。
私は日本の伝統音楽・芸能を継承し、一般に広めていく仕事をしていますが、この15、6年「めいめい」というキーワードを大事にしています。
開会のご挨拶で協議会会長が日本文化の多様性に触れられましたが、多様性を生み出すもとが「めいめい」という個々を大事にする考え方ではないかと思います。松岡先生から「揃える」というお話がありましたが、専門の音楽研究からの経験では、日本の場合、均一なもので揃えるのではなく、「めいめい」異なったものが集合して一つの世界を作っていると思うのです。
教育に携わった経験からも、「めいめい」という考え方は、自信を持って自分のオリジナリティを表す力を引き出し、個々の素晴らしさを発揮することにつながると確信しました。
今回の選考で私が重視したのは、そうした地域や企業、技を受け継ぐ人々の「めいめい」を大事にし、地域への思いがブレないこと、企業独自のノウハウを注ぎ、一貫性をもって続けていることの大切さでした。
本当におめでとうございました。皆様方の今後いっそうのご活躍を祈っております。

【プロフィール】
上越教育大学名誉教授。東京芸術大学大学院修了。専門は音楽学。国立劇場演出室職員を経て上越教育大学で教鞭を取る。伝統音楽についての研究(越後酒屋唄研究、モースコレクション日本音楽資料研究など)と舞台公演の企画に携わる。2013年の活動は、著書『モースと北斎』、公演企画「伝統芸能見本市~春迎え~」「北斎の音楽(おと)を聴く」「古典の会」など。
 

 

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