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8月26日(火)、文部科学省にて、下村博文・文部科学大臣と尾﨑元規・企業メセナ協議会理事長との会談が行われました。この会談は、2020年東京オリンピック・パラリンピックと、それに向けた文化プログラムを契機に、芸術・文化のさらなる振興と、国と民間での協力体制の重要性を確認しあうべく、実現したものです。主な概要は、以下のとおりです。

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<下村大臣からのご挨拶>
・2020年東京オリンピック・パラリンピックは、スポーツだけのイベントではなく、日本の文化を世界に発信する絶好の機会。イギリスのロンドン五輪では3~4年前から文化プログラムが準備された。日本でも、2020年に向けて文化芸術に力を入れ人材を育成するとともに、大会のレガシー(遺産)としても日本が文化芸術のハブとなれるよう、世界へ日本の文化を発信したい。
・一方、文化庁の予算は1000億強で、毎年1~2億程度しか増えていない。そのため、文化財源をどのように確保していくか、西川京子副大臣をリーダーとするプロジェクトチームにて検討を重ね、加藤専務理事にもご意見を伺ってきた。これを受け、このたび企業メセナ協議会で「2021 芸術・文化による社会創造ファンド」という、魅力的なファンドを創設していただいたと聞き、大変ありがたく思っている。
・文部科学省で現在行っている「トビタテ留学ジャパン」キャンペーンでは、官民ファンドを立ち上げ、多くの留学生が民間資金の全額負担で海外に留学している。芸術・文化の分野においても、企業メセナ協議会を中心とした民間の方々にご尽力いただき、日本の文化・芸術の発信、また、文化・芸術が新たな産業になっていくことも期待している。国としても税制改正など、企業が寄付しやすくなる工夫、仕組みも整え、支援を進めてまいりたい。今後とも強く連携させてほしい。

<尾﨑理事長からのご挨拶>
・2020年は、スポーツ・文化発信の機会であり、日本の新しい時代のきっかけになる。文部科学省の掲げておられる、グローバルな人材の育成、地域文化の振興、人材の育成に共鳴している。
・東京オリンピック・文化プログラムの実現に向け、当協議会にお話をいただいたことは、われわれのこれまでの取り組みを評価していただいたものと大変感謝している。日本の企業による芸術・文化振興は世界でもレベルが高く、活動額としても年間約800億円規模を把握しており、今後、1,000億円規模まで増やすことを目指している。
・今回創設したファンドは、「社会創造」をうたっている。芸術・文化を通じて豊かな社会をつくっていくことが重要であり、これは、企業も社会の一員であるというCSRの大きな時流にも沿うもの。民間の力を活かして、積極的に芸術・文化を振興し、また成熟社会における、心豊かな社会を創造することに貢献していきたい。
・またこのファンドは、オリンピック後の2021年以降も継続していくことが大切と考えている。そのためにも、継続的に国と民間による文化振興プラットフォームづくりを提案したい。ぜひこれからもご支援・ご協力を賜りたい。

・・・・・・

両トップのご挨拶後、西川京子・文部科学副大臣、有松育子・文化庁次長、平林文化庁政策課長、加藤種男・企業メセナ協議会専務理事を交えた懇談が行われました。

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「国と民間による文化振興プラットフォームづくり」について、下村大臣は、民間のノウハウを活かし、地域おこしや観光産業にもつながるような官民のプラットフォームをつくることが大切との理解を示され、民間の優良事例や知見の導入など、文化庁と協議会とで協力していくことがよいのではないかと発言。

尾﨑理事長からは、これまで民間企業は文化支援を個別に実施しており、企業の芸術・文化支援はそれぞれ主体的な活動であるべきこと、一方で、それを面的に広めてくには国との協力体制が必要であると指摘。寄附に関するノウハウや、財団をつくる等の余力のない企業については、協議会のような組織が中心となり、組織的に動いていきたいと述べました。

加藤専務理事からは、アーツカウンシルの本格的施行と、文化の専門家に加え文化政策の専門家を確保するべきであると提言。日本は国際的に見ても企業メセナが類例を見ないほど盛んであり、企業がさまざまに手法を開発してきたことを含め、文化政策や官民プラットフォームの推進について積極的な意見を述べました。

*会談後、記者の方から尾崎理事長への取材がありました。

Q1. 2021 Arts Fundについて、協議会では初めてのファンド創設か。
尾﨑理事長) これまでもGBFundとして、文化を通じた震災復興のためのファンドは運営している。今回はオリンピックを契機としながら、その先も見据えたファンドとなり、2020年以降も継続してやっていきたい。継続性を考えると、官と民、文化の専門家、NPO等が一緒に意見交換をする場もつくらなければならないと考えている。

Q2.ファンドの内容を具体的に。
加藤専務理事) 一番の意図は、それぞれの企業の独自性の尊重。(1)協議会にご寄付をいただき、寄付先を選定させていただく、(2)寄付者側でやりたいことを提案いただき、それにあわせたファンドをつくるなど、どのケースにも対応できるようにしている。本格稼動は来年からだが、すでに数件申込みをいただいており、初年度からある程度の規模でできる見込み。

Q3.目標額は?
加藤専務理事) 各社の自主性の尊重と機運を盛り上げることが重要で、目標額は設けていない。むしろ、企業メセナ全体の総額が800億円であることを把握しているので、これを早く1,000億円にしたいと思っている。ファンドもそれに積み重なる。

Q4.日本は寄付文化が根付いていない。文化芸術予算も低い。これからの課題は。
尾﨑理事長) かつて「メセナ」とは企業による芸術・文化支援と捉えられてきたが、協議会としてもよりよい社会を創造するために文化振興を行うのだと広く発信している。企業もこれまで経済成長だけであったのが、社会の一員として、より心豊かな社会を創造すべきであるとの認識に変わってきている。「メセナ」の概念は昔と違ってきており、新しい道を模索したい、それにあたって「2021 Arts Fund」も大きなトリガーになると考えている。 

Q5.オリンピック後も続けていくには相当の力を入れていかないといけないのでは。
尾﨑理事長)2021年以降の継続を目標に、関わる人を育成し、専門家による委員会を組織して運営していく。寄付先の選定もだが、それをどうマネージするかという点でも専門家が必要。これにより継続性の担保につながる。

Q6.支援先のイメージは。寄付は個人もできるのか。
尾﨑理事長) 「芸術・文化」なので当然広く、さまざまである。伝統文化もあれば日本文化の発信もあるだろう。寄付は個人も企業も行っていただける。
加藤専務理事) 日本には寄付文化が根付いていないとの話だが、税制優遇制度の導入が大きく寄与しており、寄付文化のレベルは高くなってきていると実感している。

以上

執筆・構成:末澤汐音、荻原康子

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