―メセナ大賞ご受賞、誠におめでとうございます。暮らしを彩るものづくりを、御社の資源を活用しながら支援し、地域との結びつきを大切にしている点などが高く評価されました。

 ありがとうございます。「工房からの風」を開催している「ニッケ鎮守の杜」は、千葉県市川市の羊毛紡績工場跡地を再開発した大型ショッピングセンター、ニッケコルトンプラザの一角にあります。工場操業時から半世紀以上におよぶ地元との関係を踏まえ、市の発展につながる事業施設であるとともにコミュニティーセンターとしてレジャー・スポーツ・憩いの場を提供し、地元との一体感を醸成することを目指して1988年に開設しました。そして、中山工場時代の神宮杜の森(現・ニッケ鎮守の杜)を中心とするコルトン広場をつくったのです。
 野外クラフト展「工房からの風」は2001年に始まり、本年で第14回を数えます。新人工芸作家の発掘・育成の場であり、心豊かな生活文化と芸術を育みたいとの想いで、工芸品の作り手と使い手を結ぶ架け橋を築き上げてまいりました。毎回、手仕事で作品を制作する作家、約50名が公募で選ばれていて、本展を楽しみに毎年足を運んでくださる方も多くいらっしゃいます。
また本展に加えて、ニッケ鎮守の杜にある「gallery らふと」では継続して、作家の作品発表の場やワークショップの機会を設けています。恒常的に活動を展開する中で、地域の方々には庭づくりのボランティアやクラフト展のスタッフとして運営に参加いただいてまいりました。そうした意味でもこのたびの受賞は、地域の皆様とともに賜ったものと、本当にうれしく思っています。

―メセナ活動を通じて、地域との関係を育まれてこられたのですね。

 弊社は1896年の創業以来、自然の恵みであるウール製品をご提供してまいりましたが、“人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループ”との経営理念に基づき、地域社会に貢献し共生できる事業を推進しています。創業の地である加古川市でも工場跡地を再開発し、地元とともに発展できる「街づくり、暮らしづくり」に取り組んでいます。
 私どものメセナ活動は、事業ととても近いところにあります。「朝日ニッケ英文コンテスト」はウール素材の学生服を着用する中高生を対象に始まり、羊毛の産出国オーストラリアとの国際親善もかねています。また震災復興支援企画「ぬくもりを届けよう」では、「工房からの風」のチャリティー販売による義援金と、ニッケの毛糸を使った手編みの帽子やマフラーなどをお届けしました。
ニッケグループは本年12月に創立120周年を迎えます。文化や伝統を育むとともに、新しい価値や未来の豊かな生活文化を創造する企業に進化すべく、さらにチャレンジを続けてまいります。

とみた・かずや
1959年静岡県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、ニッケ(日本毛織株式会社)入社。コミュニティサービス事業部長などを経て、2009年に執行役員、12年に常務執行役員、13年に取締役、本年2月より現職。

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