『メセナ アワード2017』掲載(2017年11月発行)

メセナアワード2017受賞活動はこちら

―メセナ大賞ご受賞、誠におめでとうございます。障がいのあるお子さんへの長年に渡るプログラムとして、社員の方々が主体的に工夫を続けられてこられたことが非常に高く評価されました。

ありがとうございます。「Shall We コンサート」は、約20年前から取り組みをしております。当初はコンサートにご招待するかたちでしたが、2004年から、なかなか外出が難しいなど障がいのある方々のニーズを感じ取り、演奏家の協力も得ながら現在のような学校にうかがう取り組みをさせていただいています。

三菱地所は100年を越えてまちづくりに取り組んでいます。「まちづくり」というと丸の内エリアをはじめビジネス中心に捉えられがちですが、文化芸術や歴史伝統は街の深み、温かさといった点で非常に重要な要素で、街には命や息吹、趣といったものが宿っていなくてはいけない。環境に配慮し、文化芸術を通じて深みや奥行きを加え、多様性のあるさまざまな方が集い、好きになっていただけるまちづくりを進めていきたいと思っています。

人間にとって文化芸術は、新しい発想を生み出す重要な源泉になります。伝統や歴史の流れを受けた音楽も、次の世代につないでいくことで活力を生み出す源になります。「Shall We コンサート」もまちづくりと関連する大きな取り組みだと感じています。20年の歴史ある活動に評価をいただき非常に感謝しておりますし、ご理解が広がったことをうれしく思っています。

御社では「人を、想う力。街を、想う力。」のスローガンのもと、CSRの重点分野として「社会福祉」「文化・芸術支援」を掲げられています。今後の展開についてもお考えをお聞かせください。

人々が多様性をもって受け入れられる街をつくっていかなくては本当の「街」にはなりません。創造力の源となる文化芸術、障がいのある方に限らずさまざまな方、多様性を大切にするという思いが経営の根本になくては、将来につながる企業としての成長は限られます。また我々は社会に育てていただいているという要素もあります。社会が成長するために我々も頑張り、そして社会に支えられているという視点が、経営上は非常に重要だと位置づけています。

丸の内エリアを中心とした文化事業、障がいのある子どもたちの絵画コンクール「キラキラっとアートコンクール」(2013年文化庁長官賞受賞)などとともに継続、連携し、経営のベースになっていくよう発展させていきたい。地道な活動が中心ですが、子どもたちも一緒に演奏に参加できるような仕掛けや、グループ社員も関わるための工夫など、もっともっと活動を広げていけたらと思っています。

障がいのある方は身近にいらっしゃる。社会が自然に受け入れる体制を築き、ロンドンオリンピック・パラリンピックやヨーロッパでのパラスポーツの盛り上がりのような発展型を、世の中全体で広げていければ面白いなと思っています。

き手・構成:澤田澄子|末澤汐音)

よしだ・じゅんいち/三菱地所株式会社 執行役社長
1958年生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱地所株式会社入社。人事企画部長などを経て2012年に執行役員、14年常務執行役員、16年取締役 執行役常務、本年4月より現職。

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