会員ネットワーキンググループ

第8回会員ネットワーク勉強会「アンスティチュ・フランセ東京」見学ツアー


企業メセナ協議会の会員が集う場・出会う場を生み、メセナ活動にかかわる情報交換・研鑽の場として開催する会員ネットワーク勉強会。今回は、昨年6月に開館したアンスティチュ・フランセ東京の新校舎「Village as Institute」を見学します。語学に始まり文学・映画・美術など様々な文化プログラムを通してクロスカルチャーな交流を積み重ねてきた歴史と、建築家・藤本壮介氏設計の新たな空間で開催されたイベントについて話をうかがいます。
参加者同士の交流会も予定していますので、ぜひご参加ください!

チラシはこちら(PDF)

◎日時:2022年6月28日(火)16:00~17:30

◎視察先:アンスティチュ・フランセ東京 (飯田橋)
https://www.institutfrancais.jp/tokyo/

◎予定プログラム:
16:00~ 「Village  as  Institute」見学ツアー

16:40~   ゲストトーク
・アンスティチュ・フランセ日本の紹介
・建築家・藤本壮介氏設計の新校舎について
・複合的イベント「花見フランセ」の紹介 など

17:10~   質疑応答&交流会

17:30    終了

◎参加費:
協議会会員:無料/一般:1,500円

◎お申込み方法:
①上記チラシの裏面にあるお申込書に必要事項をご記入のうえ、
メール:mecenat@mecenat.or.jp またはFAX:03-5439-4521 までお送りください。
②件名を「アンスティチュ・フランセ東京見学ツアー申込み」とし、
mecenat@mecenat.or.jp  宛に下記内容をお知らせください。
——————
1)お名前
2)ご所属・お役職
3)ご連絡先(電話番号・Email)
——————

※お申込期限:6/20(月)(定員20名様に達し次第〆切)

◇会員ネットワーキンググループとは?
企業メセナ協議会会員の相互交流・連携強化、および情報交換・相談・研鑽などが恒常的に行える場を設けるため、2011年に発足。会員有志からなる幹事メンバーが中心となり、協議会事業・行事に関連づけた会合を開くほか、会員自らのメセナ活動にかかわる日常的な課題について話し合うなど、集いの場・ネットワークづくりのため活動しています。

◇会員勉強会とは?
メセナの現場を知る機会として視察とレクチャーで構成する勉強会。

◇お問合せ
企業メセナ協議会 会員ネットワーキンググループ担当
TEL:03-5439-4520、Email:mecenat@mecenat.or.jp

開催報告

企業メセナ協議会の会員が集い・出会う場を生み、メセナ活動にかかわる情報交換・研鑽の場として開催する会員ネットワーク勉強会。第8回目の勉強会として、2022年6月28日(火)、アンスティチュ・フランセ東京を訪問した。

会の前半では2つのグループに分かれて、昨年6月に開館したアンスティチュ・フランセ東京の新校舎「Village as Institute」をご案内いただいた。

アンスティチュ・フランセ東京の新校舎「Village as Institute」

アンスティチュ・フランセ東京について
1952年に創立された、フランス政府公式の語学学校・文化センター。東京の中で唯一、フランスらしい雰囲気と緑豊かな庭を背景に、語学講座をはじめ、映画や講演会、展覧会などのイベントを開催。館内には教室に加えて、映画館(エスパス・イマージュ)やメディアテークなどが揃っており、フランス語圏の多様な文化に触れられる。建築家、ル・コルビュジエに師事した坂倉準三氏により構想された歴史的な価値のある校舎は、70年に渡り多くの人々から親しまれた。

新校舎「Village as Institute」
2021年6月には、建築家・藤本壮介氏が手掛けた拡張計画「Village as Institute」のもと、新校舎の建築工事が完成した。坂倉準三氏が手掛けた旧校舎の建築物を残したまま、新たに藤本氏が設計した教室、コンフェランスルームが加わった。さらに、敷地を覆う豊かな緑やテラス、回廊に囲まれた中庭を自由に散策できる。

アンスティチュ・フランセ日本 PR・マーケティング担当官 総括マネージャー オリヴィエ・フロモン氏

   
スタッフの方々の案内のもと、2グループに分かれて見学を開始

建物は1階から3階まであり、一棟の校舎というよりも小さな家々の集合体によって形成されているような外観の校舎は、まるで南仏にある村(=village)を想起させる

 
中にはポップアップストアとしても活用できる教室もある

新校舎の特徴の一つとして、各教室が異なる空間デザインで設計されている。家をモチーフにしている空間から、カテドラル(大聖堂)をイメージして造られた空間までさまざまだ。椅子などの家具も部屋に合わせて異なっており、それぞれの教室の個性が出るような造りになっている。キャスターつきの椅子は、利用者同士が自由に移動しながらグループワークなどを行うために有効であり、よりオープンな雰囲気でディスカッションができる仕組みになっていると感じた。アンスティチュ・フランセ日本のオリヴィエ・フロモン氏から「みなさん、どうぞ座ってみてください」とのご案内で、参加者は思い思いにカラフルな椅子に座って開かれた空間を体感した。

   
カラフルなキャスターつきの椅子が特徴的な教室

さまざまな教室を見学しながら筆者は、バカンスに南仏で過ごした友人の別荘を思い出した。「教室」といえば勉強をする場であり、少し堅苦しい場所という固定観念があるが、アンスティチュ・フランセ東京の教室ではアットホームな雰囲気でリラックスして学ぶことができそうだ。

 
椅子がグレーで統一され、落ち着いた雰囲気で勉強に集中できる教室もある

それぞれの教室の収容人数は10名〜15名だが、オンラインでも授業に出席できるハイブリッド授業が取り入れられている。8割の教室にプロジェクターが備え付けられており、受講生がよりよい環境で学べるよう配慮されている。これらの教室は会議室や講演会の場として貸し出されており、企業にとっては、緑に囲まれた教室をワークショップなどで活用することで、新しいビジネスアイディアやオリジナリティあふれるイノベーションが期待できるのではないだろうか。

また、各教室の命名権(ネーミングライツ)を募るという取り組みがあり、当日授業が行われていた教室の一つのドアには、企業名が記載されていた。このアイデアには、参加者からその斬新さを評価する声が寄せられた。

 
どの教室にも大きな窓があり、開放感を感じさせる構造になっている

新校舎の両端には2つの特徴的な階段が配置されており、上がっていく先が一つの場所に収束するという造りが印象的であった。一つの場所に向かっていく階段は、フランスの言語や文化を学ぶという共通の目的を持った人々が出会うこの学舎を比喩的に象徴しているようにも感じられた。

 

会の後半では、芸術部門総括マネージャーのサンソン・シルヴァン氏からアンスティチュ・フランセ日本や新校舎について、また複合的イベントなどのプレゼンテーションが行われた。

 
フランス大使館 文化担当官 / アンスティチュ・フランセ日本 芸術部門統括マネージャー サンソン・シルヴァン氏


日仏の文化が融合された建築空間
東京日仏学院として創立して以来、70年にわたりフランス語やフランス文化の普及と発展に携わってきたアンスティチュ・フランセ日本。シルヴァン氏は「既存の建築に新たな建築を組み合わせ独自の空間を生み出すことは、日本とフランス双方の文化にとって重要な役割がある」と強調した。
新校舎はル・コルビュジエによる「建築的プロムナード」のコンセプトを意識しており、フランスのテラスと日本の縁側のアイデアを取り入れている。敷地内に足を踏み入れると、都会の喧騒を忘れさせるような印象的な緑ある空間が広がり、日仏の要素が絶妙なバランスで組み合わされ、両国の雰囲気が融合された空間となっている。夜になると、それぞれの教室に光が灯り、ライトハウスの様になるという。昼間とは異なる顔を見せ、訪れる人々をさまざまな表情で楽しませてくれる。
旧校舎は現在改築中であるが、ギャラリースペースの拡張や子ども専用の教室の設置が予定されている。

複合的イベントの紹介
語学はもちろんのこと、文学・映画・美術などさまざまな文化プログラムについても貴重な話を聞くことができた。
アンスティチュ・フランセ日本の特徴は、「フランス語」を学ぶだけでなく、アートと文化の発信の場となっていることだ。言語に関心のある人々だけでなく、ダンスの歴史やジャムのワークショップなどフランス文化に触れるバラエティ豊富な授業も人気が高い。ガストロノミーや建築、映画といったフランスの文化そのものに関心のある人々にも利用されている。
中でも、2022年春に開催された「花見フランセ」では、フランス風の花見を提案し好評を博した。当日は音楽とダンスのイベントや演劇に関する講演会も開催され、フランス料理のブースも出店された。コロナ禍ではあったものの、日仏両国の文化が花開いた1日となった。
今年の11月26日にはアートと哲学の対話イベント「哲学の夕べ」の開催を予定している。本イベントは10年前から開催されており、毎年一つテーマが設定され、アーティストや思想家によるプログラムが企画される。今年のテーマは「メタモルフォーゼ」。フランスの言語や文化に馴染みのない人でも楽しめるイベントになるだろう。

参加者の中には、企業のメセナ担当者をはじめ、アンスティチュ・フランセ東京に通っていた方や旧関係者、芸術文化団体に所属する方もおり、教室へネーミングライツを付与することやアンスティチュ・フランセ東京の授業についての質問が寄せられた。
会の最後には、フランスのお菓子とともに、参加者やアンスティチュ・フランセ日本の担当者の交流の場が設けられた。終始和やかな雰囲気の中、参加者同士より良い教育や環境、文化発信について考える機会となり、今後の活動のアイデアを膨らませている様子だった。

都会の便利な立地に、このように魅力的な文化を感じさせる場所がある。都会の喧騒を忘れさせ、ゆったりと過ごすことができる四季折々のイベントも開催されているので、皆さんにも気軽に訪ねて楽しんでいただきたい。

 

◎訪問日: 2022年6月28日(火)
◎訪問先: アンスティチュ・フランセ東京(飯田橋) https://www.institutfrancais.jp/tokyo/

会員ネットワーキンググループとは:
企業メセナ協議会会員の相互交流・連携強化、および情報交換・相談・研鑽などが恒常的に行える場を設けるため、2011年に発足。会員有志からなる幹事メンバーが中心となり、協議会事業・行事に関連づけた会合を開くほか、会員自らのメセナ活動にかかわる日常的な課題について話し合うなど、集いの場・ネットワークづくりのため活動しています。
*2022年度幹事(企業・団体名のみ):
凸版印刷、朝日新聞社、神奈川芸術文化財団、ギャラリーエークワッド、白寿生科学研究所、ベネッセホールディングス、リクルートホールディングス、リソー教育 (計8社団体・敬称略)

【報告】矢内美春/メセナライター
パリでアートマネージメントを学ぶ。現地のギャラリーでインターンを経験し、「フィガロジャポン」でパリのアート・食・暮らしをテーマにブログを執筆。企業による芸術・文化支援の取り組みをたくさんの人に伝えていきたいです。

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