応募総数:178件 

企業・財団名/受賞活動名
メセナ大賞 サントリー株式会社
サントリーホールの運営と活動
審査委員特別賞 株式会社タダノ
イースター島モアイ像修復活動
メセナ育成賞 株式会社東急文化村
シアターコクーン戯曲賞の運営
メセナ企画賞 三和酒類株式会社
美術・文学・建築等を含む文化学研究・出版活動
メセナ国際賞 財団法人日航財団
世界こどもハイク(俳句)コンテストの運営
メセナ奨励賞 株式会社あさば旅館涵翠閣
「修善寺芸術紀行」の実施
メセナ地域賞 カトーレック株式会社
四国民家博物館の運営
メセナ普及賞 財団法人日本生命財団
「博物館総合案内」書の出版

 

■メセナ大賞
サントリー(株)
サントリーホールの運営と活動
 

活動内容

サントリーホールは、1986年東京で初のコンサート専用ホールとして「世界一響きの美しいホール」をめざしてオープン。以来、年間約80の主催公演を実施。21世紀をにらんだ実験的で意欲的なコンサートから、親しみやすいコンサート、さらに次世代の音楽家の育成を目的とした独創的な企画まで、数々の画期的な活動を展開している。
このうち現代を代表する海外の作曲家に委嘱し、世界初演するという「国際作曲委嘱シリーズ」は、現代の音楽に「創造の場」を提供し、その担い手を広く紹介するもので、これまでに誕生した19作のうち、多くの作品が海外でもたびたび演奏されている。 また、「オペラ・コンサートシリーズ」においては、「ホール・オペラ」と銘打って、新しい形態のオペラを上演。オペラの新しい可能性を示唆するものとして話題をよんだ。次世代の音楽家の育成を目的とした企画としては、1993年より、指揮者であり演出家であるグスタフ・クーンが日本の若手歌手を直接指導する「オペラ・アカデミー」を主催し、また、「ニューアーティスト・シリーズ」では、世界で注目されている若手実力派アーティストを紹介している。こうした主催公演に加えて、トータルな演奏会の楽しみを提供する充実した設備とサービスは演奏家や聴衆から高く評価されている。さらには、後に続く企業や地方自治体の音楽ホールに先駆者としてノウハウを提供している。
これらの活動を通し、日本の音楽文化のあり方を根本的に変えるほどの大きな役割をはたしてきたことが高く評価されメセナ大賞の授賞が決まった。

URL http://www.suntory.co.jp/


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■審査委員特別賞
(株)タダノ
イースター島モアイ像修復活動
 

活動内容

「クレーンがあればモアイを立たせることができるのに」。テレビ放映されたイースター島知事のこの一言に(株)タダノの社員が触れたことをきっかけに、クレーン製造業を営む同社とモアイ像との関係が深く結び付けられた。
チリの西3,800kmに位置するイースター島(チリ領)は南太平洋上に浮かぶ人口2,500人の孤島。モアイ像は10世紀から15世紀頃に造られたと推測されるが、誰が何のために造ったのかがわからず、世界七不思議の一つに数えられている。そのモアイ像が17世紀の部族間抗争と1960年のチリ大地震に伴う津波などにより、島全土に渡り約千体あるモアイ像のすべてが倒壊した。その後立て直されたのはわずか27体で、残りは倒れたまま放置されていた。同社は1991年10月に調査団を現地に派遣。チリ政府らとの協議後、要請に基づきモアイ修復委員会を国内で発足した。チリ側の修復委員会と共同で行った修復作業を手掛けたのは、同島最大のアフ・トンガリキ遺跡。1992年9月にクレーン、修復資材、発掘機材を同島に搬入した後、発掘調査及びアフ(祭壇)の再建を経て、1994年7月、14体のモアイ像を建立した。この修復のために費やした機材、資材、渡航費、人件費など経費全体は同社の負担によって行われた。
 同社が進めた修復プロジェクトは1994年7月で完了したが、いまだ多くのモアイ像は倒れている。そこで島民自身の手によって残る千体近くに及ぶモアイ像を立たせられるよう、クレーン等修復のために搬入した機材をイースター島に寄贈するとともに、同社社員が現地スタッフにクレーンの操作方法を基礎から教えるなど、将来に渡って修復作業が継続していくための道筋をつけた。
このように、自社の製品を用いて出来る限りの支援を行っていく企業姿勢が高く評価され、審査委員特別賞の授賞となった。


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■メセナ育成賞
(株)東急文化村
シアターコクーン戯曲賞の運営
 

活動内容

「Bunkamura」は1989年東京・渋谷にオープンした複合文化施設である。館内にはコンサートホール、美術館、映画館等とともに劇場「シアターコクーン」を配し、(株)東急文化村がこれらの運営管理を行っている。 シアターコクーン戯曲賞は「創造と才能への支援」の一環から、1992年に創設された。
 同賞の特徴は同劇場での上演を目的としていることにある。戯曲の文学的価値や作劇術の優劣を審査するのでなく、演出を触発し創造意欲を駆り立てる作品が選出される。したがって、現役の演出家が選考委員となっており、選出作品を選んだ演出家が舞台上演するまでの全プロセスが戯曲賞の活動となっている。賞金は3年間の上演権料を含めて300万円。1993年に決定した第1回受賞作「NEVER SAY DREAM」は当時23歳の阪大生、台場氏の作品で、2回の書き直しの後、1994年4月に栗山民也演出のもと、同作品が上演された。 (特別協賛:トヨタ自動車(株)。Bunkamuraの主催事業はオフィシャルサプライヤー[鹿島建設(株)、日本電気(株)、日本電信電話(株)、(株)日立製作所、東京急行電鉄(株)]の協力のもとに行われている。)
0このように、才能を発掘して褒め讃える段階で終わらず、作品完成までプロが付き添うことで才能を引き上げるという長期に渡る育成活動が高く評価され、メセナ育成賞の授賞となった。

URL http://www.bunkamura.co.jp/

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■メセナ企画賞
三和酒類(株)
美術・文学・建築等を含む文化学研究・出版活動
 

活動内容

文化を根源から探求する試みとして、三和酒類(株)は文化学研究雑誌「季刊iichiko」を1986年に創刊した。文化学とは哲学、社会学、歴史学、人類学などの学問を文化という切口で横断的に捉えた超領域的研究分野を指す。
 同社は、この出版活動により文化学研究者が意欲的な研究に没頭し、表現できる環境を作り上げている。しかし、通常の雑誌では、執筆者は学術上・研究上の自己表現よりも、社会的なわかりやすさを求められる。そこで、販売にとらわれず、本質的で高度な学術表現をすること、世界最先端の未踏の思考領域を切り拓くこと、を編集方針とした同誌を刊行した。編集面に関する全責任は編集・研究ディレクターである信州大学の山本哲士教授に、アート・ディレクションは河北秀也氏にそれぞれ一任されている。また、1989年からは国際版「iichiko intercultural」を年1回刊行し、海外の文化学研究者とのネットワークを広げる試みを行っている。さらに1991年には、世界第一級の研究成果を生み出している文化学研究者を顕彰する「iichiko文化学賞」創設し、以後2年に1度表彰を行っている。
 企業活動とデザインと学術研究の3点を結んだ本活動は、企業と文化をつなぐ新たな地平を切り開く可能性を備えた斬新な企画と言える。

 

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■メセナ国際賞
(財)日航財団
世界こどもハイク(俳句)コンテストの運営
 

活動内容

日本文化の海外紹介事業の一つとして、日本航空(株)は1964年に「全米ハイクコンテスト」を行って以来、ハイクの普及につとめてきたが、1990年の日航財団設立を機に、対象を小学生に的を絞って、「世界こどもハイクコンテスト」(隔年募集)を世界規模で展開している。
 同財団の企画に基づいて、世界各地で行われるこのコンテストは、日航海外支店が中心となって、教育機関への協力依頼、募集、審査、表彰などを行い、年によって「花と緑」「飛ぶもの」「空または海」という共通テーマで子どもたちから絵つきのハイクを募集するというもの。1993年度の日本大会には約1万2000句が、世界大会には22の国・地域から、さまざまな言語の6万句を超える応募があり、約1000句が入賞。特に優秀な170句は、世界的な詩人の大岡信氏、オクタビオ・パス氏らを編集者とし、原語と英語と日本語による「地球歳時記」に編集され、入賞者、各国の教育関係者、学校などに配布される。さらに、世界各地の優秀者を日本に招待し、「世界こどもハイクキャンプ」を実施し、日本の子どもたちとの交流をはかっている。ハイクは、世界一短い詩型として各国の詩人たちに注目され、教育関係者からも子どもたちにとって作りやすく、感性を養うのに役立つと、高い評価を受けるようになり、各国の教育に活用され始めた。
 企画のおもしろさと国際性を兼ねそろえており、世界の子どもたちに対して日本文化を良いかたちで発展させている好例である。

 

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■メセナ奨励賞
(株)あさば旅館涵翠閣
「修善寺芸術紀行」の実施
 

活動内容

350年の伝統を持つ修善寺の温泉旅館「あさば」は庭内に野外の能舞台と石舞台を所有する。池を挟んで舞台と客席が向かい合い、舞台奥には四季の変化を映す山が控えるという独特の空間がつくりあげられている。能舞台は加賀大聖寺藩前田家から東京深川の富岡八幡宮に寄進されたものを、1910年に現在の地に移築したという由緒あるもので、日本で五指に入る名舞台と言われている。能舞台の移築を行った第七代目当主は地域の人々と能を上演していた文化人で、当時修善寺で盛んであった能を絶やさないようにと、移築後もその能舞台で様々な作品を上演したという。1965年からは「修善寺能」と題して能の定期公演を開始。1981年に石舞台を完成した後には「修善寺芸術紀行」とうたい、新内、地唄舞、文楽などの古典芸能、「風の盆」などの郷土芸能、現代演劇など幅広いジャンルの公演を主催しており、1993年度は13プログラムで45日間の公演が行われた。
 同旅館は、これまで能をはじめとする古典芸能等の公演を主催しながら、四季の移り変わりとともに変化する貴重な舞台空間を80年余りに渡って維持するとともに、現代との調和を保ちながら発展させてきた。また、作品の選定から運営まですべて社員の手作りで行っており、従業員わずか40名程しか持たない地方の一旅館でありながら、静岡県内外に果たしてきた文化的功績は極めて高い。

 

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■メセナ地域賞
カトーレック(株)
四国民家博物館の運営
 

活動内容

貨物運送業等を営むカトーレック(株)が1976年に設立した四国民家博物館は、「四国村」の愛称で地域に親しまれている。社員の退職後の職場として始めたうどん屋の店舗として徳島県の藁葺き屋根の民家を移築したことが、今日に至る出発点となった。
 約3万平方メートルの敷地を持つ同博物館には、約1kmの遊歩道に沿って小豆島の農村歌舞伎舞台、農家や醤油蔵など、四国各地から移築復元した23棟の民家が建てられており、その多くが国または県、市の重要文化財の指定を受けている。また、庶民の生活を知る道具や什器など国の有形民俗文化財に指定された6,514点の民具も展示されている。
 館内には四国の秘境祖谷のかずら橋や小豆島の石で築いた道路や広場があり、季節の変化を示す数多くの木々が植えられ、周辺の自然環境を巧みに取り入れたユニークな屋外博物館となっている。また同博物館では、小豆島に伝承される歌舞伎公演を、毎年秋に開催するほか、紅葉茶会や餅つきなど年中行事に併せた展示、催し物なども行っている。さらに、石蔵をギャラリーとして市民に開放しており、市民の憩いの場としての役割も担っている。
 急速な勢いで地方の特色が失われつつある現在、先人達の生活様式や民俗文化を体系的に整理するとともに後世に伝承していく本活動は、大変意義深いものである。

URL http://www.shikokumura.or.jp/

 

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■メセナ普及賞
(財)日本生命財団
「博物館総合案内」書の出版
 

活動内容

豊かな社会の建設に寄与する目的で1979年に設立された日本生命財団は、幅広い助成活動の一環として、博物館総合案内書の出版助成を1982年から行っている。
 本活動は、日本各地で博物館の新設が相次いでいるが、ほとんどの博物館には総合案内書がなく、またその制作予算もないという実状をかんがみ、同財団の理事の発案から生まれた企画である。博物館が収蔵する貴重な郷土資料を、地域の視点から解説し、小・中学生にも目で見て楽しみながら用意に理解できるよう工夫して図録集としたものである。B5版88頁を標準としたシリーズものでデザインは統一しているが、各博物館の創意や特徴を尊重するよう、掲載展示品の選定や解説文の執筆は博物館が担当し、共同で編集・出版を行っている。また、本活動の特徴は、初版はたいへん経費がかかるが、来館者に1冊800円で販売し、その代金をプールすることによって、重版のさいはその財源で十分に賄える点である。対象の博物館に3000部、そして県下の学校や図書館などに1000~2000部寄贈しており、1993年度の対象博物館は、福井県・みくに龍翔館、改訂新版・北海道開拓記念館、長野県・大町山岳博物館であった。
1994年11月現在で39作を数えるが、今後も年間3~4館の割合で継続し、合計60~70館の出版を予定している。地道ながら、博物館活動に重要な役割をはたす基本的な部分を支援することにより、地域の文化の振興、普及、そして教育に対して大きく貢献している活動である。

 

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