16回目となった「メセナアワード2006」では、全国での公募に対し、計142件(115社・団体)の応募がありました。2006年9月に行われた外部の専門家からなる審査委員会により、受賞企業・活動を決定しました。

 

■ メセナ大賞部門

企業・財団名/受賞活動名
メセナ大賞 (株)ベネッセコーポレーション/(財)直島福武美術館財団
香川県直島での継続的なアート活動
地域文化振興賞 (財)岡田文化財団
三重県内における文化・芸術活動への助成等
収蔵作品充実賞 (株)グリーンキャブ
マリー・ローランサン美術館の運営
写真文化賞 コニカミノルタホールディングス(株)
51年間におよぶ写真ギャラリーの運営
音楽総合文化賞  (財)サントリー音楽財団
クラシック音楽・現代音楽の普及・振興
庭園文化賞 富士建設(株)/(財)中津万象園保勝会
大名庭園「中津万象園」の復元と維持保全

 

■ 文化庁長官賞部門

企業・財団名/受賞活動名
文化庁長官賞 近畿労働金庫
「エイブル・アート近畿 ひと・アート・まち」の開催

 

メセナ大賞

メセナ大賞
(株)ベネッセコーポレーション/(財)直島福武美術館財団
香川県直島での継続的なアート活動
 

活動内容

穏やかな瀬戸内海に浮かぶ直島は、面積8.13k㎡、人口3500人余の小さな町である。この島の南端に1989年、ベネッセがキャンプ場を設けて以来、後に「ベネッセアートサイト直島」と総称されるさまざまなアート活動が展開されてきた。
最初に手がけたのが、92年開設のホテルと美術館の複合施設「ベネッセハウス」(現・ベネッセハウスミュージアム)である。「自然・建築・アートの共生」をコンセプトに、施設内だけでなく周辺の林や海岸なども含め、その場のために制作するサイトスペシフィック・ワークの手法も取りつつ、約70点の作品が展示されている。
98年からは、本村地区にある家屋や神社をアートとして再生する「家プロジェクト」に着手。宮島達男や内藤礼、杉本博司らを招き、地域固有の文化のなかで時間をかけてプロジェクトを進めてきた。さらに2001年には、島全体を舞台とした「スタンダード」展を開催。アートを媒介に生活の営みと島の歴史に視線を向ける試みとして、多くの地域住民を巻き込み、島を訪れる人々との間に交流を生み出してきた。
そして04年夏、直島福武美術館財団により「地中美術館」が開館する。安藤忠雄の設計により地中深く設けられた同館には、クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの作品が恒久設置されている。こうして、「ここにしかないアートの場所」が創り出されるに伴って来島者は増え続け、05年度は15万人を数えるに至った。
また直島での活動と並行して、ヴェニス・ビエンナーレ参加アーティストに対する「ベネッセ賞」を95年に創設。これまで6人のアーティストに授与し、そのうち蔡國強は直島での滞在制作を行うなど、国際的なアートの舞台とも連動してきた。
この秋から、再び島全体に広がる企画展「直島スタンダード2」が開催される。これからも直島では、「ベネッセ=よく生きる」とは何かを考える場所をめざして、終わりのない活動が続いていく。

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ベネッセハウスミュージアム

 

企業/財団プロフィール (2006年4月現在)

本社/財団所在地 岡山県岡山市/香川県香川郡
業 種 サービス/財団 
設立年 1955年/2004年
資本金 136億円/64億9,280万円
従業員数 2,393人/17人
URL http://www.benesse.co.jp/
http://www.benesse-artsite.jp/

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■ 地域文化振興賞
(財)岡田文化財団
三重県内における文化・芸術活動への助成等
 

活動内容

岡田文化財団は、1979年、三重県四日市市の出身である岡田卓也氏(現・イオン名誉会長相談役)が寄付したジャスコの株式300万株を基本財産として設立された。三重県立美術館の建設に伴い、その活動を支えるべく設立されたものだが、以来、県内の文化・芸術の振興を目的に幅広い助成活動等を行っている。
県立美術館に対しては、82年の開館に向けてシャガールの大作《枝》を寄贈したのを皮切りに、印象派を中心とする西洋絵画の名作と日本近代美術の作品を購入・寄贈してきた。これまでに岡田文化財団が寄贈した作品は400点を超え、美術館の全所蔵品のほぼ一割を占めるが、いずれもコレクションの中核をなす重要なものばかりである。これは、美術館として必要とされる作品や資料を検討し、その要請に財団が応えてきた成果であり、系統立ったコレクション形成のため引き続き寄贈を行っている。
また、同館での展覧会についても助成するほか、三重県文化振興事業団が主催するコンサートや市立博物館の活動へも助成を行うなど、県や市の文化施設の事業をバックアップしている。それとともに、個人や団体が行う文化・芸術活動を県内から募り、年間100件を超える案件を助成。対象分野は、音楽、美術、演劇、茶道や華道、伝統芸能、伝統工芸、歴史文化遺産などと幅広く、公演や展覧会、講演会から海外留学まで、その形態やプロ・アマも問わない。さらに助成金額についても、申請予算に勘案して裁量するという柔軟さである。
2005年には、岡田理事長の実姉である小嶋千鶴子氏が三重郡菰野町に建設した「パラミタミュージアム」の寄付を受け、池田満寿夫の陶芸作品を中心とした所蔵作品と財団が所有する萬古焼コレクション、および企画展による美術館運営も担っている。
財団の基本財産は現在、イオンの株式約2000万株となった。安定した果実による活動の充実が、ますます期待される。

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三重県立美術館へモネの作品を贈呈する岡田卓也理事長(左)

 

財団プロフィール (2006年4月現在)

財団所在地 三重県三重郡 
業 種 財団 
創業年 1979年
資本金 38億円[イオン株式2000万株] 
従業員数 11人
URL http://www.okadabunka.or.jp/

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■ 収蔵作品充実賞
(株)グリーンキャブ
マリー・ローランサン美術館の運営
 

活動内容

長野の蓼科湖畔に建つアートランド・ホテル蓼科、このリゾートホテルに併設するかたちで、1983年にマリー・ローランサン美術館は開館した。同ホテルの経営を引き継いだグリーンキャブ社長(当時)の高野将弘氏が、ローランサンの絵画十数点を所有していたことがきっかけである。開設後には、パリ市ロマン派美術館館長ダニエル・マルシェッソー氏はじめ専門家からなる運営委員会を組織し、画家・ローランサンを顕彰する美術館としてコレクションの充実とその研究に努めてきた。
これまでに収集したコレクションは、油彩画94点を含め、水彩画、版画、デッサン、挿絵本、直筆書簡から写真等の資料にいたるまで500点を超え、質・量ともに世界最大のものとなっている。これらの作品は同館にて常時100点ほど展示しているほか、国内外での展覧会にも貸し出しており、各地の公立美術館での巡回展などローランサンの企画には欠かせない存在である。海外でも、93年にスイスのP・ジャナダ財団に招聘されてヨーロッパでは没後二度目の回顧展を同館所蔵品のみで実現、ローランサン再評価の機運を高めてきた。
それと同時に、画家研究の基礎文献となる「作品総目録」(レゾネ)を、86年と99年の2回、第1・2巻と出版し、世界に散在する作品全般の把握にも貢献してきた。こうした実績による信頼も厚く、2003年にはパリのオランジュリー美術館から作品を借用して「シャネルとローランサン」展を開催したり、本年は東京の松下電工汐留ミュージアムとの共催で「ルオーとローランサン」展を企画するなど活動の幅を広げている。
奇しくもローランサン生誕100周年に開館して以来23年間、約213万人のファンが同館を訪れ、地元・茅野の観光の一助ともなってきた。一人の画家の紹介に地道な努力を続けてきた美術館の、さらなる展開に期待したい。

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マリー・ローランサン 《接吻》、 1927年頃、油彩・キャンバス

 

企業プロフィール (2006年4月現在)

企業所在地 東京都新宿区 
業 種 陸運
設立年 1952年
資本金 7,290万円
従業員数 3,772人
URL http://www.greencab.co.jp/laurencin/

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■ 写真文化賞
コニカミノルタホールディングス(株)
51年間におよぶ写真ギャラリーの運営
 

活動内容

現在、東京・新宿にあるコニカミノルタプラザは、1954年、銀座に写真専門のギャラリーとして開設した。当初は、各種写真団体に発表の場を提供することを目的としていたが、カメラの普及とともにその性格を変えてきた。93年に新宿高野ビルに移転し、2002年の改装で3つのスペースを設けてからは、プロ・アマを問わず、さまざまな映像イメージ表現を扱う場として多彩な展覧会を開催している。
一年を通じて無休のギャラリーで行われる展覧会の内容は、大きく3つに分かれる。1.話題性ある企画展:約5件、2.若手写真家を支援する「フォト・プレミオ」:24件、3.公募により選ばれたバラエティに富む作品展:約70件、これら趣旨の異なる展覧会が3つのスペースで同時に開催されることで幅広い層の関心を集めており、年間の来場者数は24万人を上回る。
なかでも94年に始まった「フォト・プレミオ」(旧「新しい写真家登場」)は、新たな写真家を紹介する場として知られている。35歳以下の若手を対象に作品を募り、選考委員会で選ばれた24人について毎月2人ずつ10日間の個展を開催。そのうちもっとも優れた作品展に年度賞を、次いで特別賞を2名に、他の21名も入選としてそれぞれ奨励金を授与している。さらに、全員の作品を掲載したポートフォリオを発行し、上位3名については受賞発表展も行うという手厚さで、これまでに約300名の若手写真家を輩出してきた。
一方で、広く門戸を開いている公募の作品展に対しては年間300件を超える応募があり、その表現の多様さに驚くこともあるという。これらの作品展についても、企画展やフォト・プレミオと同じく広報活動を行い、身近なメディアとしての写真の面白さを伝えている。
長年にわたり、写真を根幹に発展してきた同社のメセナの拠点として、今後も多くのファンに愛されるギャラリー運営が期待される。

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「フォト・プレミオ」の展示風景

 

企業プロフィール (2006年4月現在)

本社所在地 東京都千代田区
業 種 電気機器
設立年 1936年 
正味財産 375億1,900万円 
職員数 連結合計約33,400人
URL http://konicaminolta.jp/about/plaza/ 

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■ 音楽総合文化賞
(財)サントリー音楽財団
クラシック音楽・現代音楽の普及・振興
 

活動内容

サントリー音楽財団(旧・鳥井音楽財団)は、1969年、同社創立70周年を記念して設立された。国内におけるクラシック音楽の発展を目的に、とりわけ「日本人作曲作品の振興」を掲げて、幅広い事業を展開している。
顕彰事業では、財団設立と同時に「サントリー音楽賞」(旧・鳥井音楽賞)を設け、初回に新進気鋭の小林道夫(ピアノ、チェンバロ、指揮)を選出して話題を呼んだ。以来37年間の受賞者には、個人・団体、プロ・アマ問わず、演奏、評論、オペラ演出に至るまで、時代を牽引した顔ぶれが綺羅星のごとく並んでいる。また90年に、故・芥川也寸志の功績を称える「芥川作曲賞」を創設。選考会では候補作が演奏された後、公開討議により受賞作品を決定する場面に聴衆が立ち会い、受賞者には新作が委嘱されて2年後の初演が約束される。さらに01年には、サントリー前会長の精神を継ぐ「佐治敬三賞」が設けられ、国内で開催される意欲的な企画を表彰して、多くの音楽関係者を励ましている。
コンサート事業としては、81年より「作曲家の個展」を東京で、86年より「室内楽の個展」を大阪で開始。そして同年のサントリーホール開館を受けて、「サマーフェスティバル」をスタートさせ、同時代の音楽を積極的に取り上げてきた。また関西でも、作曲家と他ジャンルの交流を試みる「TRANSMUSIC 対話する作曲家」など、新しい取り組みが始まっている。
そのほか、邦人作品を含む演奏会のチケットを買い取ってプレゼントする「推薦コンサート」(79年~)や、日本作曲家協議会と協力しての「楽譜出版助成」(80年~)、作品目録「日本の作曲家の作品」を隔年で発行するなど、音楽を取り巻く環境の整備にも努めている。
これらの活動を通じて、作曲家や演奏家、評論家そして聴衆に与えてきた影響は計り知れず、今日のクラシック音楽界の根幹を築いてきたことが高く評価された。

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「TRANSMUSIC 対話する作曲家 伊左治直 ~イラストレーター名倉靖博氏を迎えて」

 

財団プロフィール (2006年4月現在)

財団所在地 東京都港区
業 種 財団
設立年 1969年 
資本金 42億8,000万円
従業員数 3人
URL http://www.suntory.co.jp/culture/smf/

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■ 庭園文化賞
富士建設(株)/(財)中津万象園保勝会
大名庭園「中津万象園」の復元と維持保全
 

活動内容

元禄元年(1688年)、丸亀藩二代目藩主の京極高豊候により、中津の海浜に築庭された「中津万象園」。300年に及ぶ歴史のなかで所有者の変遷とともに姿を変え、自然災害も重なって荒廃していたこの庭園を富士建設が買い取ったのは1970年のことである。創業者である真鍋利光氏の「昔日の名園を後世に残したい」との思いから、以降12年の歳月を掛け、社員一丸となって庭園の復元にあたった。
復元作業に際しては、大阪芸術大学の中根金作教授に協力を仰ぎ、古図や漢詩などの資料から本来の有り様を検証して作庭を試みた。1万5000坪の園内に立ち並ぶ1,000本の老松を活かし、そこに5,000本近い百花紅楓を植栽。京極家先祖の地である近江の琵琶湖を模った八景池の石組みを新たに組み直して、そこに点在する8つの島々を橋で結んだ。また、二亭ある茶室を江戸当時の姿に修復し、樹齢630余年ともいわれる直径15mの「大傘松」を整えるなど、中州のお茶処、池泉回遊式大名庭園の往事の面影を取り戻していった。
こうした復元を進めるとともに、庭園を散策しながら美術にも親しむ場にしようと「丸亀美術館」を併設。コローやミレーなどバルビゾン派絵画と日本画を展示する「絵画館」、ガンダーラ仏やオリエントの陶器が並ぶ「陶器館」、古い雛人形や櫛かんざし類を常設する「ひいな館」が園内に配されて、1982年の一般公開を迎えた。
開園以来、「中津万象園」は丸亀市の観光スポットとして紹介され、多くの観光客が訪れるようになった。美術館では年数回の企画展を行うほか、子ども写生大会や野外の映画上映会、コンサートなども催して地域の人々が集う場ともなっている。さらに98年には、将来にわたって安定した運営をはかれるよう財団法人中津万象園保勝会を設立し、より公共性の高い活動を目指している。
庭園は日々、同社の庭師が手入れを怠らず、四季折々の風情を見せている。社業を活かした造園とその維持継承への努力が、地域文化の醸成に大きな役割を担ってきたのである。

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「中津万象園」 八景池にかかる邀月橋

 

企業/財団プロフィール (2006年4月現在)

本社/財団所在地 香川県三豊市
業 種 建設/財団 
設立年 1952年/1998年
資本金 8,200万円/5,500万円 
従業員数 72人/10人 
URL http://www.fujikensetsu.jp/

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文化庁長官賞部門

■ 文化庁長官賞
近畿労働金庫(大阪府)
「エイブル・アート近畿 ひと・アート・まち」の開催
 

活動内容

「エイブル・アート近畿 ひと・アート・まち」は、ろうきん運動50周年を記念して設立された「ろうきん市民社会貢献基金」を活用して、2000年にスタートした。以来毎年、近畿2府4県を巡回しながら、奈良・京都・大阪・兵庫・和歌山・滋賀と、05年度までに6回開催してきた。
障がいのある人たちの芸術活動を通じて、人と人・社会とのつながりを再考しようとする「エイブル・アート」運動に共鳴した近畿労金が、(財)たんぽぽの家と協働して、毎回、開催地の多くの協力者とともに実行委員会を組織。アートでまちを人間的で豊かな美しい空間にしようと、店舗や廃校など各地のさまざまな施設や、商店街などの‘まち’を舞台に、作品展示やワークショップなどの試みが展開されている。
2005年度の開催地となった滋賀では、障がい者とアーティスト:8組17人が協力しての作品制作に挑戦したほか、ガムランの演奏団体とのパフォーマンスを共同で創り上げた。また、エイブル・アートの作品を自宅や店舗に展示する「プライベート美術館」、学生が作品を販売するチャレンジショップ、障がいのある人たちによる「語り絵」ワークショップ、日常の風景を留めた写真の公募展示である「世間遺産」など、約10日の期間ながら多彩な催しが行われた。運営には営業店の職員がスタッフやボランティアとして携わったほか、市民ボランティアも約80名が加わり、子どもから大人まで多くの地域住民が参加する広がりのあるプロジェクトとなった。
これまでの開催で、エイブル・アートへの認知が高まるとともに、まちを舞台とした多角的な芸術活動として開催各地から継続の要望も強くある。これを受けて06年度には大阪で新たなかたちで開催、さらに市民参加を促す取り組みを模索している。

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団体プロフィール (2006年4月現在)

団体所在地 大阪府大阪市
業 種 金融
設立年 1998年
正味財産 159億9,500万円
職員数 1,241人
URL http://www.rokin.or.jp

 

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