『メセナ アワード2015』掲載(2015年11月発行)
撮影:中村貴史
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メセナ大賞のご受賞、誠におめでとうございます。ルーヴル美術館と連携して開発を重ねた美術鑑賞ツールを、独自のワークショップとしてさらに幅広い層へ向けて展開されている点が高く評価されました。
 

 ありがとうございます。ルーヴル美術館との協力関係は長く、1998年にマルチメディア情報検索スペース「サイバー・ルーヴル」を寄贈して以来です。その中で、ルーヴルが抱える課題、来館者が数多くある作品一つひとつに対して理解を深めることが難しいという状況を知りました。そこで、新しい美術鑑賞の方法を探るために協働を始めたのが、「ルーヴル ‐ DNP ミュージアムラボ」なのです。当初は、作品の近くにデジタル機器を設置することへの抵抗を示されましたが、対話を重ねて開発をすすめ、学芸員の皆さんが実際に鑑賞システムを体験してみて作品への理解が深まると実感されたのでしょう。これまで館内4部門で、このシステムが導入されました。
 当社の情報コミュニケーション技術やノウハウを活かした文化活動は、デジタル環境や時代の変化に即応する社業と相関関係にあります。ですから、今回賞をいただいた活動も、ルーヴルとの協働を経て、より多くの人へ新たな体験を伝えようと、いまも成長を続けているのです。

社業と関連しながら、文化活動を展開しているのですね。
 

 まだメセナの言葉もなかった86年、東京にグラフィック専門の「ギンザ・グラフィック・ギャラリー」を開設してからです。現在は京都と福島を加えた3か所を拠点として、2008年に設立した公益財団法人DNP文化振興財団で運営しています。グラフィック文化の価値を伝えるほか、アーカイブや調査、近年は研究助成なども展開しています。年々アーティストの表現は多様化し、グラフィックの領域もコミュニケーションメディアも拡大しています。グラフィックはコミュニケーションの一形態であり、当社にとって密接なものです。だからこそ、我々が取り組むべき文化活動ですし、本業に近いところで息長くという姿勢も一貫しています。
 当社は「文明ノ営業」と位置づけ印刷業を創業して、2016年に140周年を迎えます。企業として、社会の変化に応じるだけでなく弛まぬイノベーションを続け、社会に変化をもたらしたい。そのためにも、事業と文化活動の両輪で社内にも社会にも新しい価値を提供し続け、「未来のあたりまえ」を思い描いて種を蒔き、育んでいるのです。

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撮影:中村貴史

聞き手・構成:内田秋

きたじま・よしとし 大日本印刷株式会社 代表取締役社長
1958年慶應義塾大学経済学部卒業、同年(株)富士銀行入行。
63年5月 大日本印刷株式会社入社、79年12月代表取締役社長就任。
日本経済団体連合会常任理事。
レジオン・ドヌール・コマンドゥール受章。
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