『メセナ アワード2018』掲載(2018年11月発行)

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メセナ大賞ご受賞、誠におめでとうございます。長年にわたって、全国各地の子どもたちの情操教育とともに、読書文化の継承に寄与されている点などが高く評価されました。

ありがとうございます。「メセナ活動」というよりも純粋に未来の読者を増やしたいという想いから始まった活動であったので、この度の受賞は正直意外で、驚きました。ご存じの通り「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」は全国の幼稚園、保育所、書店などの皆さま、「おはなし隊」の隊長の方々、読み聞かせのボランティアの皆さま、あと恐らく最もたいへんな役割を担ってくださっているドライバーの皆さまに支えられて成り立っている活動です。我々だけでできることではなく、ご協力いただいた方々のサポートあっての受賞であるとたいへんありがたく思っています。

創業以来、時代に即して幅広い事業に取り組まれていらっしゃいます。経営の中で、メセナ活動をどのように位置づけていますか。また、今後の展開についてお聞かせください。

我々は出版物を始めとしてコンテンツをつくる事業を行っています。そのうえで、さまざまなことを知り、人と出会うことは非常に大きな意味を持ちます。中でも子どもたちの新鮮で想像を超えた視点、反応からは貴重な経験を得ています。その他のCSR活動として、オーストラリアなどで植林支援を行っていますが、現地にはあらゆる面から森林資源の活用や保全にかかわっている「フォレスター」と呼ばれる専門家がいます。日本ではまだなじみの薄い職業で、私自身も訪問時に初めて知りました。「おはなし隊」と同様に、こういった新たな知見から得た多くの刺激はやがて本業につながり、活きてくると思っています。

「おはなし隊」は創業90周年記念事業としてスタートし、来年は創業110周年、「おはなし隊」は20周年を迎えます。実は読書推進活動のさらに新しいかたちを模索しているのですが、今のところ現在の活動を超えるものが出てきていません。今後の展開がどうなるかまだわかりませんが、今までの参加者が延べ約190万人にのぼっていること、また今回の受賞が活動継続の後押しになると思っています。こうして活動を長く続けていると、徐々に「おはなし隊」参加者が社会人になり、その中から編集者、記者など出版関係の仕事につく人も生まれており、次世代に影響を与えられていることをうれしく思います。

つくり手側として今最も難しくなっているのは、捨てるものは買わない傾向にある市場に対してどんなものを生み出していくかということ。消費財でなく、手元に持っておきたくなる、文化財として価値のある出版物をつくっていかないといけないと思っています。

出版不況と呼ばれる昨今ですが、子どものころ好きだったものにはきっといつか戻ってきます。デジタル媒体のよさ、紙の媒体のよさ、それぞれをうまく提供していきたいと考えています。

のま・よしのぶ/株式会社講談社 代表取締役社長
1969年1月13日生まれ
91年3月慶應義塾大学法学部政治学科卒業
91年4月三菱銀行入行
99年1月東京三菱銀行退職
99年2月講談社取締役就任
2003年2月常務取締役
04年2月代表取締役副社長
11年3月代表取締役社長
現在、凸版印刷株式会社取締役、日本出版販売株式会社取締役 など

 

関連リンク:
本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」
株式会社講談社


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