公益社団法人 企業メセナ協議会

メセ協アーカイブ

メセナアワード 2014

第24回を迎えた「メセナアワード2014」では、4月から5月末にかけて行った全国公募に対し、102件(94社・団体)の応募がありました。これらの応募活動について外部の専門家からなる選考委員会により検討を行い、本年の受賞企業・活動を決定しました。

 

■ 大賞  ※賞名/企業名[所在地]/受賞活動

企業・財団名/受賞活動名
メセナ大賞 公益財団法人ギャラリーエークワッド [東京都]
“建築・愉しむ”ギャラリーエークワッドの運営


■ 優秀賞  ※賞名/企業名[所在地]/受賞活動。企業名五十音順

企業・財団名/受賞活動名
川の手文化賞 アサヒビール株式会社 [東京都]
すみだ川アートプロジェクト2013:江戸を遊ぶ―「ないまぜや!」鶴屋南北
華のアート賞 株式会社資生堂 [東京都]
「椿会」の開催と資生堂ギャラリー、資生堂アートハウスの活動
子どもクリエイティブ賞 株式会社電通 [東京都]
「広告小学校」プロジェクト
ケニアで読みま賞 日本工営株式会社[ケニア国]
日本ケニア友好ソンドゥ・ミリウ公共図書館での読書文化普及のための支援活動
紅型めんそ~れ賞

株式会社琉球銀行[沖縄県]
「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」による紅型振興と次世代育成活動

◎最も高く評価された1件が「メセナ大賞」。他の賞は特に評価された点を賞名に反映。

■ 特別賞

企業・財団名/受賞活動名
文化庁長官賞 トヨタ自動車株式会社 [東京都]
トヨタ青少年オーケストラキャンプ

 

メセナ大賞

■ メセナ大賞 公益財団法人ギャラリーエークワッド
“建築・愉しむ”ギャラリーエークワッドの運営

活動内容

エークワッド_トーヴェ.jpg2005年2月、竹中工務店本社の東陽町への移転にあわせ、地域貢献活動を目的にギャラリーエークワッドはオープンした。当初は、同社設計部を中心にギャラリー特別委員会を組織して運営。その後財団法人化し、2013年には公益財団法人に移行して現在に至る。
ギャラリー名に冠した「エークワッド:A4(Aの4乗)」は、Aの3乗=空間、つまり「建築」を意味し、残るAは、Atmosphere(空気、雰囲気)や Amusement(愉しみ、娯楽)、あるいは「建築」に時間ファクターを取り入れ、4次元的に「愉しむ」ことを示している。
このコンセプトに基づき、年間7~9本の企画展を開催、これまでに75回を数える。2013年の「トーベヤンソン展」ではトーベの島の暮らしの記録からそのライフスタイルと思想を紹介し、「木造モダニズム建築シリーズ」では、時代的背景を掘り下げながら木造によるモダニズム建築の魅力とその可能性を伝えるなど、独自の視点で文化を解きほぐす。自然や人の営みに目を凝らし、物事の多面性を見せるその切り口からは、日本のものづくりや匠の精神といった一貫した眼差しが浮き上がる。各展覧会のテーマに応じたシンポジウムや「ものづくり」ワークショップは、大人だけでなく近隣の子どもたちも参加する企画として展開されている。
多彩なアプローチには、暮らしをデザインするという大きな視点での建築文化の考え方が根付いてほしい、そして、日常に潜むたくさんの「愉しい」を多くの人が見つけてほしい。そんな願いが込められている。

 

評価ポイント

建築をとりまく生活文化をベースに、独自の切り口で文化の多様な考え方を提案している。
消えゆく日本の建築文化を取り上げ、再評価のきっかけづくりに貢献している。

団体プロフィール (2014年月現在)

団体所在地 東京都江東区
主な事業 文化及び芸術の振興を目的とする事業
設立年 2005年
職員数 5人
URL http://www.a-quad.jp/

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■ 川の手文化賞 アサヒビール株式会社
すみだ川アートプロジェクト2013:江戸を遊ぶ―「ないまぜや!」鶴屋南北

活動内容

7月20日アンサンブルズパレード①.JPGかつてのように白魚が棲み、人々が泳ぎ遊べるような川にしたい。隅田川を重要な地域資源と捉えるアサヒビールが進める「すみだ川アートプロジェクト(SRAP)」が描く未来像だ。2009年から2089年までの80年間、地域の人々やアーティスト等とともに、皆でつくり、皆で楽しむ「川の手文化」の発信を続けることで、多くの人が隅田川に目を向け、行動する機会を創造しようとの取り組みである。
毎年夏には、吾妻橋袂にある本社ビル隣のアサヒ・アートスクエアを拠点に、近隣の寺社や広場、隅田川を行く船を使いながら、連日連夜さまざまなプロジェクトが1ヶ月半にわたり展開される。近年は「江戸を遊ぶ」をシリーズテーマに、江戸期に活躍した文人や画家等に注目する。2013年は鶴屋南北を取り上げて会場を芝居小屋に見立て、「隅田川」「江戸」「鶴屋南北」に因む約40のプロジェクトが行なわれた。江戸着物のファッションショーや義太夫お稽古体験、禅僧による怪談、町工場の廃材で楽器をつくるワークショップ、子どもガムラン隊が登場する宵宮など、主催者企画のほか公募により「ないまぜ」なプログラムが繰り広げられた。音楽家の大友良英が仕掛ける「アンサンブルズ・パレード/すみだ川音楽解放区」では200人以上がそれぞれ好きな楽器を手に参加し、まちに音を響かせた。
春は花見、秋は月見、冬は雪見と季節ごとの催しも行い、隅田川をアートで遊ぶ多彩なプロジェクトが次々と続く。誰もが表現することを楽しむ場をつくり出すSRAP、80年の時をかけ、隅田川の清流沿いに、どれほど賑やかな川の手文化を育むことだろう。

 

評価ポイント

文化の側面から地域資源に注目する長期的な取り組みで、遊び心に満ちた幅広い活動が展開されている。
さまざまな立場の人がかかわり、創意あふれる提案と主体的な参加を促すことで、文化の多様性を担保している。

団体プロフィール (2014年月現在)

本社所在地 東京都墨田区
主な事業 酒類事業
設立年 1949年(現:アサヒグループホールディングス)
資本金 200億円
従業員数 3,300人
URL http://www.asahibeer.co.jp/

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■ 華のアート賞 株式会社資生堂
「椿会」の開催と資生堂ギャラリー、資生堂アートハウスの活動

活動内容

第七次椿会(2013~ ).jpg資生堂のシンボルマーク「花椿」に由来する「椿会」は、同社が1919年より運営する資生堂ギャラリーを代表するグループ展だ。1947年、第二次大戦で中断していた同ギャラリーの活動を再開する第一弾の展覧会として企画されたもので、数年間固定メンバーで組織されたグループ展を、毎年一回開催する。参加アーティストのジャンルは、日本画、洋画、彫刻から現代美術へと時代とともに広がり、これまで93名が椿会メンバーとして名を連ねる。2013年からは、現在も続く第七次メンバーを迎えている。

出展作品の購入を前提として、毎年アーティストに新作の制作を依頼する。新しい表現へチャレンジするための安定した発表の機会をつくることで、アーティスト自身のクリエイションの幅を広げてほしいという意図からだ。そこには、新しい価値を発見して美しい生活文化を創造し続けるという、同社のミッションが反映されている。
展覧会終了後に購入した作品は、1978年に静岡県掛川に開館した資生堂アートハウスのコレクションに加わる。「椿会」第六次までの購入作品約330点と、同ギャラリー主催の「現代工藝展」出展作品約240点を合わせると、コレクション全体の4割に及び、その中には、のちにアーティストの代表作となる作品も多く含まれている。同館では、所蔵作品による企画展を年4回開催しており、グループ展後も広く作品を公開する機会を提供している。
60年以上にわたり、「椿会」はグループ展という仕組みを軸に、ギャラリーとアートハウスの特徴を活かしながら、新たな価値の創造に寄与してきたのだ。

 

評価ポイント

アーティストに新たな作品制作の場を提供しコレクションすることで、同時代のアートの潮流を先導してきた。
各地で運営する施設の役割を活かして、一貫した創造活動支援を多面的に展開している。

企業プロフィール (2014年月現在)

本社所在地 東京都中央区
主な事業 化粧品、化粧用具、トイレタリー製品、美容・理容製品、医薬品、美容食品の製造、販売
設立年 1927年(創業1872年)
資本金 645億円
従業員数 33,000人
URL https://www.shiseido.co.jp/

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■ 子どもクリエイティブ賞 株式会社電通
「広告小学校」プロジェクト

活動内容

宮古市津軽石中学校で講師を務める電通のクリエーター.JPGCMづくりで、「伝える」を学ぶ。電通が取り組む社会貢献活動「広告小学校」のテーマだ。
子どものコミュニケーション力の育成を目的に、同社と東京学芸大学が協働で開発した小学生のための授業プログラムで、学校の先生の指導により、共通のテーマについてアイディアを出しながらグループワークを行い、最終的に15秒のCM劇として発表するものだ。発想を広げて課題を整理し、表現につなげる一連のプロセスにより、「伝える・伝わる」経験を積むことを重視している。
授業に必要な教材はパッケージ化して無償提供しており、先生のための学習指導案やQ&A集、DVDやワークシートのほか、CM劇のための小道具を揃えるなどきめ細かい。メソッドはもとより教材そのものにも同社のコミュニケーションスキルが最大限に活用されている。これらのパッケージにより多くの教室で取り入れることが可能となり、2013年度は90校・約7,400人の子どもが同プログラムを体験。2006年の取り組み開始時から数えると、利用者は全国の176校・20,000人にのぼる。
もともと小学生向けに開発したプログラムだが、近年のキャリア教育やコミュニケーション教育への関心の高まりにより、中高生への利用が広がる。また、各地の文化や魅力を発見・発信するための授業ツールとして期待する声も寄せられ、教材のカスタマイズや授業のアドバイスに同社クリエーターが応じるなど、サポートも充実している。今後もより広範囲かつ幅広い年代に求められるプログラムとして、さらに広がりを見せるだろう。

 

評価ポイント

経営資源を子どものコミュニケーション教育に活かし、同社ならではの社会貢献活動として展開している。
教材と指導方法をパッケージにすることで、全国各地の学校の教育現場で活用されている。

企業プロフィール (2014年3月現在)

本社所在地 東京都港区
主な事業 コミュニケーション関連の統合的ソリューションの提供など
設立年 1901年
資本金 746億981万円
従業員数 7,425人
URL http://dentsu.co.jp

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■ ケニアで読みま賞 日本工営株式会社
日本ケニア友好ソンドゥ・ミリウ公共図書館での読書文化普及のための支援活動

活動内容

写真-2_P1010771図書館外観.JPGきっかけは、鍵付きの本棚を見たことだった。日本工営は、ケニアのソンドゥ・ミリウ地域での水力発電所建設の施工監理業務を受注し、1997年より事業に携わっていた。2000年、現場の迫田所長のもとに、現地の自助会「ヘラ(ルオー語:幸福)婦人会」が相談に訪れた。同会の活動をなにか支援してほしい、との依頼だ。現地の学校の図書室では教科書や本が鍵付きの棚に保管され、子どもたちが自由に使えないことを知っていた迫田氏は、図書館の開設を提案。開設資金と英語の本の寄付を社内に呼びかけ、事業主の発電会社には工事用の建物の一部を提供してもらった。こうして、2001年に「ソンドゥ・ミリウ公共図書館」が発足した。
図書館を運営するのは、同婦人会の婦人たち12名。その運営を支えるのは、同社と「図書館を応援する会」だ。迫田氏が会長を務める同会は、社員をはじめ日本や英国、ケニアの市民で構成される。ここで集められる本や支援金は毎年現地に送られ、蔵書は2009年に約5,000冊に達した。同年の暴風雨被害で半分以下に減るも、その後の寄贈で現在は4,000冊となる。2004年には、同会の支援金で土地を購入、新図書館を建設して拠点を移した。司書の雇用のほか、絵画教室や作文コンテストの開催などを提案、運営ノウハウの提供も含め、図書館としての質の向上にも力を入れる。
現在の来館者は年間27,000人となり、年々増加の一途をたどる。一人の思いが多くの人々を動かし、ケニアの地に読書文化を根付かせようと、これからも活動を続けていく。

 

評価ポイント

現地団体と直接連携し、現場のニーズに即したきめ細やかな支援を行っている。
企業と賛同者による団体が連携して継続支援することにより、読書文化に対する理解促進に寄与している。

企業プロフィール (2014年6月現在)

本社所在地 東京都千代田区
主な事業 開発および建設技術コンサルティング業務ならびに技術評価業務、電力設備、各種工事の設計・施工、電力関連機器、電子機器、装置などの製作・販売
設立年 1946年
資本金 73億9,333万円
従業員数 2,991人[連結]、1,845人[単独]
URL http://www.n-koei.co.jp/

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■ 紅型めんそ~れ賞 株式会社琉球銀行
「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」による紅型振興と次世代育成活動

活動内容

大賞_風を受けて.jpg紅型は、多彩に染めつけられた美しい文様が見る人を惹きつける、沖縄を代表する伝統工芸だ。14~15世紀頃にアジアの染色技法を取り入れ、京都・友禅の影響も受けながら、琉球王朝の繁栄と共に発展したが、近年は作家だけでなく後継者も減少の一途をたどっていた。
琉球銀行は、設立45周年と沖縄の復帰20年が重なった1992年、「紅型デザインコンテスト」を始める。それまで長らくカレンダーに使用してきた紅型の採用方法をコンテストに切り替えることで、若手工芸家の育成に取り組むと同時に、紅型デザインの新しい領域の追求にも力を入れるためだ。
コンテストでは、プロアマ問わず紅型の手法を使った作品を募集。2013年より、「一般枠」のほかに20歳以下の学生を対象とした「未来枠」を設置し、より幅広い年代へと視野を広げる。応募作品はすべて県立博物館・美術館で展示され、期間内は紅型ワークショップも行う。入賞・受賞作品は毎年買い取り、主要店舗にて巡回展示するほか、カレンダーや顧客が日ごろ使う通帳やキャッシュカードなどで広く活用される。案内板など店内各所で作品が展開され、中でも本店店舗の壁がひときわ目を引く。大きな壁の一面に作品が採用されており、数年おきに内容が入れ替わる。
さらに、作品の活用を自社内にとどめず、県内企業へも2009年までの受賞作品約110点の使用を呼びかけたところ、第1号として待望久しい「かりゆしウェア」が誕生した。伝統技術を継承しつつ、これからも紅型表現の新しい扉は鮮やかに開いていくだろう。

 

評価ポイント

地域独自の伝統文化を継続的に支援すると同時に、新たな表現へ可能性を広げている。
多様な手法で作品を紹介することで、伝統工芸を日常に落とし込み、次世代育成に寄与している。

企業プロフィール (2014年4月現在)

本社所在地 沖縄県那覇市
主な事業 預金業務、融資業務、国際業務、証券業務等
設立年 1948年
資本金 541億2,700万円
従業員数 1,251人
URL http://www.ryugin.co.jp/

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特別賞

■ 文化庁長官賞 トヨタ自動車株式会社
トヨタ青少年オーケストラキャンプ

活動内容
 

トヨタ青少年オーケストラキャンプ.jpg各地から音楽を志す青少年が一堂に会してプロの指導を受ける3泊4日の音楽合宿、それが「トヨタ青少年オーケストラキャンプ(TYOC)」だ。1980年代当時、「全国の仲間と、もっと多くのものと時間を共有したい」という青少年たちの熱い思いを受けて、トヨタ自動車と日本アマチュアオーケストラ連盟が連携し、活動が始まった。
第1回の1985年から毎年開催しており、全国のジュニアおよびユースオーケストラをはじめ、一般やアジアのジュニアオーケストラへと対象も広がりをみせ、第30回となる2013年は13~23歳の青少年約160名が国内外から参加した。TYOCは2年間を1単位とし、1年目に集まったメンバーが2年目のキャンプで再会し、朝から晩まで第一線で活躍するプロの演奏家から指導を受けて、曲を仕上げる。最終日にサントリーホールで開催した演奏会には、全国のキャンプ卒業生が応援に駆けつけた。
TYOCの特徴は参加者の自主運営スタイルにあり、設立当初に声をあげた青少年たちの意思を継ぐ。音合わせの技術だけでなく、心合わせの経験も蓄積される2年間となるのだ。そして、ここで参加者が得た技術や運営のノウハウを地元に持ち帰ることもTYOCで大切に受け継がれる約束事だ。他では得難い貴重な経験は、各地域のオーケストラ活動に広く活かされている。
これまでの参加者はのべ5,000名。創設期に10代だった青少年も今では40代となり、プロの音楽家や地元のオーケストラの中核として活躍する。TYOCから持ち帰られた種は各地で芽吹き、幹を太くしながらこれからも成長しつづけるだろう。

 

評価ポイント

各地の青少年を対象とすることで、地域の音楽文化の担い手となる次世代を多面的に育成している。
外部団体との連携で国内外のアマチュアオーケストラを支援し、継続的に幅広いネットワーク形成をしている。

企業プロフィール (2014年4月現在)

本社所在地 愛知県豊田市
主な事業 自動車の生産販売
設立年 1937年
資本金 3,970億5,000万円(2014年5月現在)
従業員数 338,875名(連結)
URL www.toyota.co.jp

 

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