メセナアワード

メセナアワード1993

メセナ大賞

セゾングループ

セゾン美術館の運営

活動内容

セゾングループでは「将来、普遍的な評価を受けるであろう芸術作品は、現在我々の身の回りにいる柔軟な精神と創造力をもつ芸術家によって創作されているものであり、彼らの活動を支えていくことは同時代に生きる者の務めである」との認識のもと、現代芸術の支援に取り組んでいる。
その中でセゾン美術館は1975年、西武百貨店池袋店の12階に「西武美術館」として開設された。以後、コレクションは持たないが、従来の新聞社主導型の展覧会とは一線を画す、独自の企画展を開催。とりわけ、現代美術界において同美術館が果たしてきた功績は大きく、現代美術の展覧会が美術館で開催される機会が乏しかった1970~1980年代において、同美術館ではJ・ジョーンズやJ・シーガルらの現代美術作品を他に先駆けて紹介するなど、「国際的に開かれた現代美術館として傑出した存在だった」と高い評価を受けている。 1989年にはSMA館の1,2階部分に移転し、名称も「セゾン美術館」に変更した。1991年より株式会社西友が運営している。
活動の基本コンセプトは1)人類の遺産、2)現代の美術、3)生活の中のデザイン。昨年は「現代美術の新たな広がり」と「人間交流のすがた」をテーマに、『ヘンリームーア展』、『シェーカー展』、『長安の秘宝展』などを開催。今年も『キーファー展』などで注目を集め、明日に向けての「豊かで質の高い生活時空間の創造」を提案し続けている。

URL https://www.smma.or.jp/

セゾン美術館外観a. セゾン美術館外観

ハイビジョンギャラリーb. ハイビジョンギャラリー

シルクロードの都 長安の秘宝展c.シルクロードの都 長安の秘宝展

メセナ特別賞

(財)トヨタ財団

「隣人をよく知ろう」プログラムの実施

活動内容

「隣人をよく知ろう」プログラムは文学作品などの翻訳紹介を通じて、日本とアジア諸国の相互理解を促進することを目的として、1978年から始まった。「隣人をよく知ろうプログラム・日本向け」と「隣人をよく知ろうプログラム・アジア相互間」とがある。
「日本向け」の方は、従来なかなか紹介されることのなかった東南アジアや南アジア諸国の現地語で書かれた文学作品などを、翻訳者および出版社に助成金を提供することによって日本に紹介する活動で、これまで134冊の本が翻訳出版されている。
一方「アジア相互間」の方は、日本の文学作品などをアジア諸国の翻訳者、出版社が現地で行う翻訳出版事業への支援活動であり、アジアの国相互に翻訳し合う出版事業も含まれている。こちらの方は、1993年現在で、219冊の日本文学作品などが紹介されている。また、同財団は翻訳書を出版するだけでなく、翻訳書に関しての解説目録やニュースレターを日本全国の図書館等に送るなど、広くアジアに関心を持ってもらえるように、広報普及活動も行っている。さらに、その英文版も用意し、これらの活動を現地をはじめ、広く海外に知らせる努力もしている。「アジアと日本が、より良い人間関係を築くために何をしたら良いか」とアジア各国の知識人にヒヤリングした結果生まれた事業で、常に現地のアドバイザーなどの意見を取り入れながら、翻訳や出版の手伝い等を行い、徐々に対象の国や作品を拡げてきた。
この「日本向け」「アジア相互間」プログラムを通し、日本のみならず、対象国でも翻訳者が育ち、出版社の数も伸びてきている。

URL https://www.toyotafound.or.jp/

メセナ特別賞

フィリップ モリス(株)

日本美術修復計画への支援

活動内容

明治以降、欧米に流出した浮世絵や屏風、彫刻などの日本美術品の中には、長い年月の間に汚れや染みがついたり、退色してしまったものが少なくない。しかし、修復するためには日本の伝統に基づいた独自の技術が必要であり、現地で行うことは難しい。 (財)芸術研究振興財団(平山郁夫理事長)が中心となって進めている「日本美術修復計画」は、それらを日本にいったん「里帰り」させ、修復したのち返還しようというもの。1991年より本格的に開始された同計画で、現在までに米国スミソニアン・フリーア美術館所蔵の日本絵画13点の修復作業が完了している。
フィリップ モリス(株)は同計画の主旨に賛同。大口の資金援助を行うほか、同計画への関心を高めるために、「国際文化交流シンポジウム」を2度にわたって開催した。さらに、1992年には「カレンダー基金活動」を実施。一般に対し、同計画への寄付金を募り(一口2000円)、寄付者には修復を終えた日本絵画の記念カレンダーを進呈した。その結果、1560万円以上にものぼる寄付金が寄せられ、芸術研究振興財団に贈られた。
同社には、35年以上にわたり世界各地でメセナ活動を行ってきた長い伝統がある。その伝統は、「企業のビジネスの拡大に伴い、その社会的・文化的責任も重くなる。また真の国際的企業として、利益を社会に還元し、地域社会とその文化に貢献する必要がある」との考えに基づくものである。日本美術修復計画への支援活動もこの伝統に沿ったものであり、同社は今後も支援を継続していく方針である。

メセナ特別賞

(株)南日本放送

MBCユースオーケストラの運営

活動内容

MBCユースオーケストラは1964年、南日本放送の開局10周年記念として、地元鹿児島の文化への貢献を目的として創設された。民間企業の支援による青少年オーケストラとしては日本で最も長い歴史を持ち、演奏レベルも高い。常時80人程の団員(小学生から大学生まで)が在籍し、約10名の指導者のもと、週1回の練習に励んでおり、その成果は、年1回の定期演奏会、県内の地方公演、クリスマスコンサートを3本柱として発表し、多くの県民に親しまれている。1976年にはアメリカ建国200年記念として1カ月にわたるアメリカ各地への演奏旅行、1991年には韓国全州市での演奏会を行うなど、国際親善にも寄与してきた。これまで1200人を越える青少年が巣立ち、世界的に活躍するプロの音楽家も生まれている。また、地元のアマチュアオーケストラ「鹿児島交響楽団」のメンバーの多くは同オーケストラの出身である。
同社は運営、経費、練習場の提供などすべてに責任を持って当たっている。鹿児島という地で、30年間活発な活動を継続できたのは同社の熱心な支援があったからこそと言える。これまで外国のピアニストや中央から指揮者を招いての演奏会や地域の合唱団とのジョイントコンサートを開くなど、県民に生の演奏機会を提供し続け、地域の音楽文化の向上に大いに貢献している。

URL  https://www.mbc.co.jp/info/youth/

MBCユースオーケストラ練習風景a.練習風景

MBCユースオーケストラ、韓国全州市にてb. 韓国全州市にて

MBCジュニアオーケストラ第一回演奏会c.MBCジュニアオーケストラ第一回演奏会

メセナ賞

大阪ガスグループ

扇町ミュージアムスクエアの運営

活動内容

(略称OMS)は、1985年、大阪ガス北支社移転後の未活用建物をリニューアルして誕生。所在する扇町地区が、大阪駅や梅田駅が集中する繁華街から離れている点や、関西圏の演劇・映画界の脆弱な状況も憂慮し、強力な集客力を持つ複合文化施設へと改装するに至った。
ガス器具倉庫を改造した小劇場「フォーラム」をはじめ、洋画邦画を問わず粒選りの名画を上映するミニシアター、ライブも楽しめるカフェ・レストランなどを備えたOMSは、関西の若者文化発信基地として大きな役割を果たしている。特に「フォーラム」は大阪の小劇場の草分け的存在であり、1992年度の公演数は府下最多の60を超え、今や関西小劇場界のメッカと言われている。ただスペースを貸すだけでなく、自主興行も手がけ、また演劇のレイトショー「扇町夜遊びシアター」等の企画も行っている。また、関西の若手を代表する「劇団新感線」「南河内万歳一座」両劇団には、OMS設立当初から建物内の一室を稽古場として安価で提供。両劇団のメジャー化にも貢献した。1992年度からは、劇団支援のための新企画「扇町アクトトライアル」を開始。劇団制作担当者のマネジメント能力の強化を図るため、制作講座を開催するほか、制作実務の直接指導などを行っている。 設立以後、新生文化の発信基地としての役割を果たすとともに、周辺の商店街も若者対応の店づくりを進めるなど、扇町地区の活性化にも大きく貢献した。OMSは来年、設立10周年を迎え、さらなる飛躍が期待される。

URL https://www.osakagas.co.jp/company/efforts/so/oms/#about

扇町ミュージアムスクエア(OMS)a. 扇町ミュージアムスクエア(OMS)

カフェ・レストランの様子b.カフェ・レストランの様子

劇団 新感線c.劇団 新感線

.劇団 リリパットアーミーd.劇団 リリパットアーミー

メセナ賞

(財)東芝国際交流財団

国内外の美術館、博物館などへの助成

活動内容

(株)東芝は創立50周年にあたる1989年に、東芝国際交流財団を設立。以後、同財団では国際交流・対日理解の促進および国際社会での貢献を目的に、シンポジウムの開催や海外現地社会の発展向上のための諸活動への支援などを行っており、芸術文化関連の助成は活動全体の半数を数えている。
助成事業の中でも国際文化理解のために貴重と思われるのが、東京国立博物館を初めとする国内の美術館、博物館に対する外国語のパンフレットなどの寄贈、およびルーブル美術館の日本語版の展示品解説パネルの寄贈による助成である。両者は対照的な性格の事業だが、どちらも美術館などでは置き去りにされていたサービスであり、利用者からは異国文化を理解するための手がかりとして好評を博しているという。助成目的を明確にするために、財団スタッフが責任を持ってパンフレットなどを製作し、申請者に現物を収めるという助成方法を採用しているのもユニークだ。
このほかにも昨年はメトロポリタン美術館とボストン美術館の活動案内資料の発行や「葛飾北斎展」開催など芸術文化関連では11件に対する助成を行った。助成申請にあたって公募制は取らず、財団自らが助成先を探し出している。
財団スタッフの国内外を通じた現地調査により、各地のニーズを考慮した助成が行われている。

URL https://www.toshibafoundation.com/jp/index.html

メトロポリタン美術館a.メトロポリタン美術館

メセナ賞

日本生命保険(相)

30年にわたるニッセイ名作劇場の協賛と日生劇場の運営

活動内容

日本生命保険(相)が、日比谷ビルの中に日生劇場を開場したのは1963年。「次世代を担う子どもたちに生の舞台の感動を味わってもらいたい」との考えのもと、その翌年から始められた、こどものためのミュージカル・プレイ「ニッセイ名作劇場」(主催:ニッセイ文化振興財団、協賛:日本生命、制作・出演:劇団四季)は、今年で30年を迎えた。
この公演は、小学校6年生を課外授業の一環として学校単位で無料招待するもので、東京(日生劇場)をはじめ全国10都市で開催され、これまでに2620回の公演を重ね、約408万人の児童を招待している。また、1981年より、毎年夏休みに全国約60都市で開催している「ニッセイ名作劇場(ファミリー公演)」は、これまで1052公演を行い、163万人もの親子を招待している。
日生劇場では、このほか中高生向けの「日生劇場オペラ教室」、「ニッセイ・オペラ・シリーズ」などオペラ振興にも力を入れる一方、開場30周年を機に「日生劇場国際児童フェスティヴァル」を開催するなど、舞台芸術文化の発展に貢献し続けている。
日生劇場の開場当時、企業の文化活動がまだ少なかったなかで、この活動を開始・継続したことは、同社が先駆的にメセナ活動に取り組んだことの証左といえる。

URL https://www.nissaytheatre.or.jp/

日生劇場a.日生劇場

ニッセイ名作劇場30周年の様子b.ニッセイ名作劇場30周年の様子

ニッセイ・オペラシリーズ『セヴィリヤの理髪師』c.ニッセイ・オペラシリーズ『セヴィリヤの理髪師』

劇団四季『歌は友だち』d.劇団四季『歌は友だち』

オペラ教室『夕鶴』e.オペラ教室『夕鶴』

ニッセイ名作劇場 感想文集f.ニッセイ名作劇場 感想文集

メセナ賞

松下電器産業(株)

グローブ座への支援

活動内容

松下電器産業(株)は1990年11月より、シェイクスピア専門劇場「グローブ座」の「良質の演劇を現地並みの価格で提供する」というポリシーに共鳴し支援を開始。専任スタッフをつけ、安定的かつ継続的な資金援助に加え、「同時通訳システム」機器の無償提供、音楽公演における音場制御システムの技術協力、従業員とその家族の観劇促進、社員ボランティアによる大阪公演の運営など、単に資金的な支援に留まらず、きめ細かく幅広い支援を実践している。
同社の支援により、多くの人々が海外の質の高い劇団の公演を低廉なチケット代で、全作品・全公演が同時通訳付きで鑑賞できるようになり、演劇ファンに歓迎されている。また、グローブ座では「日本の伝統芸能によるシェイクスピア」というテーマで歌舞伎・狂言・文楽によるオリジナル公演を行ったが、これらの作品は同社の支援によって英国のジャパンフェスティバルにも参加した。
このように、演劇文化の向上と普及に貢献しているだけでなく、演劇を通じての国際文化交流に果たしている役割も大きい。 同社には、「世界文化の進展に寄与する」ことを目指す経営理念があり、その理念に基づいた世界各国で行う活発なメセナ活動は、現地で高く評価されている。

グローブ座a.グローブ座

葉武列土倭錦絵b. 葉武列土倭錦絵

c.シェークスピア公演

メセナ賞

(財)ローム ミュージック ファンデーション

音楽文化振興活動

活動内容

ローム ミュージック ファンデーションは1991年、京都に本社をおく半導体メーカーのローム(株)と同社社長・佐藤研一郎氏が中心となって設立。「音楽活動に対する助成を図るとともに、音楽を専攻する学生に対する奨学援助等を行い、もって我が国の文化の向上、発展に寄与すること」を目的に、活動を行っている。 佐藤社長は若かりし頃、ピアニストを目指したが、限界を感じ、その夢を断念した経験がある。その後は実業家としての道を歩み、ローム(株)も一部上場企業となった。同財団の特徴である人材育成事業には、「かつての夢を若い音楽家たちに託したい」という佐藤社長の想いが反映されている。
主な活動は、音楽活動・国際交流・音楽文化に関する調査研究に対する助成、音楽を専攻する学生に対する奨学金の給付、音楽に関する資料等の収集及び実態調査の実施、その他「夏のスイス音楽セミナー」の開催、音楽家の在外研究奨励費の給付等も行っている。1992年に開始したこの「夏のスイス音楽セミナー」も、夏の約2週間、選抜された音大生等たちに、レッスンに最適な環境を与え、世界的に著名な音楽家が直接、演奏技術の指導等を行うというもので、同財団の人材育成事業の好例である。

URL https://www.rohm.co.jp/web/japan/

メセナアワード1993受賞一覧に戻る

 

arrow_drop_up