メセナアワード

メセナアワード2020

[大賞]メセナ大賞

公益財団法人鹿島美術財団

鹿島美術財団賞

活動内容

鹿島美術財団贈呈式鹿島美術財団は、「美術の振興をはかり、日本の文化の向上と発展に寄与する」ことを目的に、1982年に設立された。主に全国の若手・中堅の美術研究者を対象に、美術に関する調査研究助成を始め、出版援助や国際交流援助、美術講演会の開催などの事業を行う。設立からおよそ40年にわたり、約2,600件(総額約20億6,000万円)を助成してきた。
1994年の第1回に始まる「鹿島美術財団賞」は、毎年、美術に関する調査研究の助成者の研究成果をまとめた報告論文『鹿島美術研究』の中から、特に優れたものに対して贈呈している。
主に絵画や美術史、美術館学(美術品の保存・修復・維持など)に関する調査研究を対象に、テーマや地域、時代、考察手法など、幅広く美術研究全体に開かれており、5名の選考委員によって日本・東洋美術部門、西洋美術部門で1名ずつが選ばれる。授賞式では賞状と副賞50万円が授与されるほか、150名ほどの招待者を前に研究発表会が行われる。
受賞を経て、大学や研究機関の職に就き、執筆・講演依頼が来るようになったという声も多く、「自身のキャリアに影響を受けた」という受賞者は8割近い。科研費などの申請権利を手にできる機会が限られた美術館や博物館所属の若手研究者にとって、同財団の助成は数少ない励みであり、賞が大きな精神的支援も果たしている。今後の研究にむけて、著書の出版や論文の発表機会を目指し、出版援助やメディアへの紹介など、受賞後のステップアップ支援を求める声も多くある。
長く険しい道のりの中で、背中を押してもらったことへの感謝とともに、自分を信じて前へ進んでいく大切さが研究のさらなる前進につながっている。財団の継続的な支援が、これからも優れた研究を引き出し、美術界全体の質を高めていく。

評価ポイント

数少ない美術研究への支援を長年継続しており、若手研究者の育成に貢献している。
美術界を支える多くの人材を顕在化し、研究の質を高め、芸術文化全体の発展に寄与している。

企業プロフィール

団体所在地:東京都港区
創立年:1982年
資本金:68億円
従業員数:5名
主な事業:美術に関する調査研究、出版物の刊行、国際交流の助成援助、美術普及振興など
URL:http://www.kajima-fa.or.jp/
(2020年6月現在)

[優秀賞]パンと絵本でメルヘン賞

株式会社アンデルセン・パン生活文化研究所

アンデルセンのメルヘン大賞

活動内容

アンデルセンのメルヘン文庫本「アンデルセンのメルヘン大賞」は、1983年にベーカリー アンデルセングループの創業35周年を記念して創設された公募大賞で、第1回から一貫して「身近な暮らしの中で感じたこと、感動したこと、想像したことなどを自由につづってください」を募集テーマとしている。これは同グループがパンを通じて「食卓に幸せを運ぶ」という企業理念をもとに事業を展開していることから、日々の生活を大切にし、そこで感じたことを物語にしてほしいという思いが込められている。
同賞は、選考委員長が全作品を読み予備選考をしたのち、毎回異なる絵本画家・イラストレーター5名によって最終選考が行われ、選考委員がそれぞれ自ら選んだ作品に挿絵を描き「アンデルセンのメルヘン文庫」として刊行される。同賞が物語を媒体とした心の触れ合い、感性の共有に重きを置いていることからこのような選考方法となっており、授賞式は童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの生誕の4月2日に開催され、受賞者と選考委員がともに語らい、感動と共感の輪を広げる場となっている。
物語のために描かれた挿絵原画は、期間を設けて、授賞式会場でもあるグループの旗艦店 広島アンデルセンで鑑賞することができる。2018・2019年は、物語を聴くことの楽しさも広げていこうと、受賞作品の朗読会を開催し、デンマーク語で温かな居心地のよい雰囲気を表す「“ヒュッゲ”な朗読会」などを実施した。
同賞には、これまでに延べ68,433作品の応募があり、広く創作の機会を提供してきた。これからも、物語を紡ぎ、また物語を聴くという豊かな時間を、人々の生活に届けていく。

評価ポイント

本業のパンづくりからくる思いを絵本に込め、長年にわたり童話創作の機会を提供している。
受賞者と選考委員の共同作業という独自の形式で、童話を愛する人々の心をつなげている。

企業プロフィール

本社所在地:広島県広島市
創業年:1948年
資本金:8,000万円
従業員数:93名(グループ連結6,987名)
主な事業:パンの製造販売をしているアンデルセングループの持ち株会社
URL:https://www.andersen-group.jp/
(2020年4月現在)

[優秀賞]アートで街を充電しま賞

鬼塚電気工事株式会社

プロジェクトONICO

活動内容

災害時も利用できる無料充電ステーション「鬼桜」と「ONICO」新産業都市として発展した大分県で、鬼塚電気工事は長年にわたって県内の多くの代表的建築物に電気工事業として携わってきた。
同社がメセナ活動を始めたきっかけは、2011年当時、地域への危機感から芸術・文化の力で都市再生を図る必要性があると、地元経済同友会や県をまきこみ提言していったことに遡る。
その後、県はクリエイティブな手法による新たな産業創出を目指す「クリエイティブ・プラットフォーム構築事業」を開始。「プロジェクトONICO」は同構築事業のネットワークを活用し、クリエイターや大分県立芸術文化短期大学と協働する産学官連携プロジェクトとして、電気工事の領域から地域の課題解決を目的として行っている。
代表的な活動としては、災害時も利用できる無料充電ステーション「鬼桜」と「ONICO」の制作と中心市街地への設置が挙げられる。これらは防災に役立つコンテンツの発信や子ども図書館といった機能も備えているため、地域住民の新たなコミュニティスポットとなっている。「ラグビーワールドカップ2019」大分開催時には外国人観光客も集い、にぎわいをみせた。本活動は社内の有志を中心に運営されているが、広報や制作、設置の際には社員総出で取り組む。
2020年春には大分県と「災害時における電気設備等の応急対策に関する協定」を結んでいる。コンパクトに充電機器を詰め込んだ防災セット「ONICOBACO」を制作し、7月中旬の豪雨では、日田市中津江で孤立した避難所への電気設備の整備を行うなど、活動が広がりをみせている。アートを起点に、ONICOは今日も大分の街を充電している。

評価ポイント

産学官の連携により、新たな視点から確かな技術で、地域の課題に応えている。
本業で培ってきたノウハウを活かし、アートを起点に災害支援へと活動が発展している。

企業プロフィール

本社所在地:大分県大分市
設立年:1955年
資本金:4,900万円
従業員数:102名
主な事業:電気工事業、管工事業、電気通信工事業ほか
URL:https://www.onizuka.co.jp
(2020年10月現在)

[優秀賞]クラシックを♪♪咲かせま賞

公益財団法人ソニー音楽財団

子どもたちへの良質なクラシック音楽の提供
および音楽を通した教育活動助成や若手演奏家の支援

活動内容

未就学児と一緒に家族で楽しめるクラシック・コンサートソニー音楽財団は、1984年の設立から一貫して子どもの成長に合わせたクラシック・コンサートの企画制作や若手音楽家への支援に取り組んでいる。
「Concert for KIDS」シリーズは、未就学児と一緒に家族で楽しめるクラシック・コンサートのパイオニアとして信頼を集め、開催回数は300回(総来場者数138,000人)を超える。世界で活躍する太鼓芸能集団「鼓童」とのコラボレーションなど、多様なプログラムに進化し、昨年度は20年の節目に初めてフル・オーケストラ公演を実現した。2014年には「子どもたちに贈るスペシャル・コンサート・シリーズ~10代のためのプレミアム・コンサート」をスタート。小学1年生~19才の青少年に向け、幅広いテーマで世界トップレベルのアーティストたちによる公演を開催。出演者による曲目解説や体験ワークショップなどの対話プログラムに定評がある。そのほか、若手チェリスト・指揮者の発掘、育成を目的とした顕彰制度「齋藤秀雄メモリアル基金賞」を実施している。
さらに2019年には、地域・環境・経済状況などに左右されることなく、より多くの子どもたちが音楽に触れることのできる社会を目指し、「ソニー音楽財団子ども音楽基金」を設立。同基金はSDGs「質の高い教育をみんなに」に通じ、第1回目は音楽を通じた教育活動に取り組むNPO法人や教育機関など、全国14団体に総額935万円を助成した。
2020年は「ソニー音楽財団新型コロナウイルス対策特別支援プロジェクト」を立ち上げ、子どもたちを対象に活動する若手演奏家や団体へ総額5,000万円規模の支援を行う。これからも“For the Next Generation”の精神のもと、音楽を通して感性豊かな心を育み、明るい未来を築いていく。

評価ポイント

創意工夫に富むプログラムを通して、さまざまな子どもたちの豊かな感性を育んでいる。
一貫して音楽を通じた次世代育成に寄与し、時代に即して事業を幅広く展開している。

企業プロフィール

団体所在地:東京都千代田区
設立年:1984年
基本財産:8億5,914万円
従業員数:12名
主な事業:コンサートの主催・企画制作、若手演奏家の支援、音楽教育活動への助成など
URL:https://www.smf.or.jp/
(2020年9月現在)

[優秀賞]並んでも食べたい音楽で賞

株式会社原田

未来の音楽文化のための芸術文化支援活動

活動内容

地域住民に向けたコンサート開催洋菓子・ガトーラスクを主力商品に、群馬県新町に根ざして菓子製造業を営む原田。お菓子と芸術文化の融合を通して感動を発信する場として、2010年から本社工場シャトー・デュ・エスポワールの1階を開放し、上質なアート空間を演出しながら地域住民に向けたコンサートを開催している。
出演者の選定・交渉から、集客やチケット管理、当日運営まですべて社員の手で行う。手づくりで温かみのあるコンサートは、出演者・来場者ともに評判が高く、企画は1年半先まで決まっている。クラシック、ジャズ、雅楽、落語など、毎月さまざまな音楽分野の著名アーティストが出演するほか、年間1割を新規に依頼。来場者は約600名のコンサート会員「友の会」はじめ県内外から幅広く訪れ、当日のキャンセル待ちも多い。チケット代から集まった売上金は高崎市や被災地支援などへ全額寄付している。
さらに、同コンサートから発展した新たな音楽支援も生まれている。高崎市出身の実力派ピアニスト・金子三勇士氏による「未来のピアニスト育成事業(JPC)」がその一つだ。テクニック重視ではなく将来性を見越して全国から優秀者を選出し、同氏の指導を経て3年に一度行われる「ハンガリー子どものためのバルトーク国際ピアノコンクール」への出場機会を提供する。同社および協力団体が会場運営費や派遣旅費などを全面的に支援するほか、優秀者は同社ホールでのコンサートに出演し、ピアニストとして活躍していくことを後押ししている。
近年では文化事業に関心を持ち、入社を希望する学生も増えてきた。これからも地域に愛されながら、香り高い文化を築き、人々の豊かなくらしに寄りそっていく。

評価ポイント

地域に密着しながら質の高い活動を継続し、地域交流に貢献している。
地域貢献から次世代育成へと支援の幅を広げ、音楽文化の発展に寄与している。

企業プロフィール

本社所在地:群馬県高崎市
設立年:1942年(創業1901年)
資本金:1,000万円
従業員数:1,066名
主な事業:洋菓子製造および全国主要百貨店や商業施設での自社社員による販売
URL:http://www.gateaufesta-harada.com
(2020年10月現在)

[優秀賞]琉球の心いちまでぃん賞

株式会社琉球新報社

琉球古典芸能コンクール・琉球古典芸能祭

活動内容

琉球古典芸能コンクール・琉球古典芸能祭琉球新報社は1893年に設立され、県内初の日刊新聞「琉球新報」を発行している。同社は文化事業の一つとして、「琉球古典芸能コンクール・琉球古典芸能祭」を主催。旧本社ビル内の「琉球新報ホール」を活用する目的で1966年に始まった同事業は、古典芸能の正しい継承と発展を目指し、公正かつ厳格な審査によって卓越した新進実演家を発掘・育成している。
当初から一貫して分野を古典舞踊と古典音楽(三線・箏曲・太鼓・笛・胡弓)に定め、3段階の部門(新人賞・優秀賞・最高賞)を設置。同コンクールは「芸コン」の愛称で親しまれ、若手芸能家の登竜門として広く定着している。受験者は県内外・海外から、年齢層も10代から70代まで職業も幅広く、54年間で延べ63,048人が挑戦してきた。各流会派から選出された約120人の審査員による審査を経て、最高賞受賞までは10年以上の芸歴が求められている。
披露の場である芸能祭を経験した受賞者は、その技量が認められた実演家・指導者として幅広く舞台で活躍し、後進の育成にも尽力している。過去に輩出された多くの重要無形文化財保持者や人間国宝たちは、沖縄の伝統芸能の質を高め、地域の誇りにつなげている。さらに、2011年からは「八重山古典芸能コンクール・芸能祭」として地域の芸能振興に取り組むほか、2017年には小学4年生~中学2年生を対象とした「若衆芸術祭」を創設。さらなる裾野の拡大と次世代育成に努める。
子どもから大人まで、一途に芸の道に携わることのできる仕組みを半世紀以上も築いてきた。技とともに受け継がれていく琉球の心は、永遠の光となり、未来を生きる人々を照らし続けていく。

評価ポイント

新進芸能家の登竜門として、長年にわたり沖縄の伝統芸能を守り、継承に貢献している。
幅広い事業を通してさまざまな世代や地域をつなぎ、人々の誇りを創出している。

企業プロフィール

本社所在地:沖縄県那覇市
設立年:1893年
資本金:1億9,232万円
従業員数:293名
主な事業:新聞発行の他、スポーツや教育、文化芸術、伝統芸能に関する事業の企画運営
URL:https://ryukyushimpo.jp/
(2020年10月現在)

[特別賞]文化庁長官賞

株式会社資生堂

資生堂ギャラリーの企画・運営

活動内容

資生堂ギャラリー

撮影:加藤 健

1919年以降、民間では日本最古のギャラリーである「資生堂ギャラリー」は、「新しい価値の発見と創造」を当初からの理念とし、新進作家を継続的に発掘・支援している。
2006年からは新しい美との出会いの場として若手現代アーティストの公募展「shiseido art egg」にも注力。毎年、ポートフォリオと同ギャラリーでの展示プランを募集し、3人(組)のアーティストを選出する。入選者は担当キュレーターとの話し合いを重ね、3週間の個展をつくりあげるほか、展示協力や広報発信、カタログ制作なども同社が全面的にサポート。最終的に、さまざまな分野の審査員3名により「shiseido art egg賞」が選ばれる。展覧会後、入選者は国内外で活躍し高く評価されており、作家同士や審査員とのコラボレーションといった新たな展開にもつながっている。art egg以外でも、展覧会をきっかけにアーティストが店舗ディスプレイや音楽制作などにかかわり、事業活動との連携を生み出している。
さらに、2019年にギャラリー創設百周年を迎え、同社がなぜメセナに携わってきたのか、その意義や「資生堂らしさ」を捉え直し、創業者精神を伝える活動の社内還元にも目を向ける。art eggでは社員に向けて、「アートをビジネスにつなげる」をテーマに審査員による講演会を実施。そのほか、イギリスの建築家集団ASSEMBLEを招待した社内ワークショップを行い、モノづくりや美意識について考えるきっかけを創出した。
昨年新たに企業ミッションを“BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)”と定め、ESG経営にC(カルチャー)も取り込み、環境・社会・文化の相乗効果で社会課題に取り組む。次の100年に向けて、アートをイノベーションのトリガーとし、社会価値を創造する挑戦は続いていく。

評価ポイント

創業者精神を受け継ぎながら、時代の変化を捉え、アートによる社会的価値創造へチャレンジしている。
経営の中に文化を取り込み、社内の統一認識を高め、社会課題にも取り組んでいる。

企業プロフィール

本社所在地:東京都中央区
創立年:1872年
資本金:645億円
従業員数:約48,000名
主な事業:化粧品事業を中心としながら、レストラン、教育・保育事業など幅広く展開
URL:https://corp.shiseido.com/jp/
(2020年10月現在)

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