メセナアワード

メセナアワード2022

[メセナ大賞]可能性は無限で賞

凸版印刷株式会社

可能性アートプロジェクト

活動内容

「可能性アート」とは、無限の可能性を秘めた障がいをもつアーティストの作品を指す。凸版印刷は、一人ひとりの持つ多様な才能や感性を、自社独自の技術やノウハウで付加価値化することにより、障がい者の自立支援と事業活動の両立を目指している。同プロジェクトは2018 年よりNPO 法人サポートセンターどりーむ、後に(一社)障がい者アート協会の協力を得て推進され、この活動プロセスを通じた次世代リーダーの人財育成にも活用されている。
障がいをもつアーティストから作品を募集し、社員投票で選定された数十点が高精細な画像データに変換され、独自技法によるデジタルリトグラフ「プリマグラフィー® 」に生まれ変わる。毎年入社式で本社社屋をはじめ、「可能性アートプロジェクト展」として社内外に展示される。また、新入社員研修で「作品の価値をどのように最大化できるか」をテーマにアイデアを出し合い、各部門が連携して具現化・商品化していく。作品は営業社員がグループの得意先に向けて紹介し、障がい者アートの認知向上と活用促進を図っている。
作品が販促物のデザインなどに採用されると、アート使用料が対価としてアーティストと支援団体へ支払われる。これまでに建設現場の仮囲い、会員誌やカレンダー、紙製飲料容器など幅広く採用され、還元金額は400 万円を超えている。さらに、2021 年は京都の大徳寺「瑞峯院」を再現したVR 空間でオンライン展示会を開催、30 ヶ国以上の訪問者から好評を博した。今年はメタバース上での展示やNFT 販売など新たなテクノロジーを活用した展開も始まっている。
アーティストが自身の想いを表現し活躍できる場として、これまでに91 名(197 作品)が参加している。対等なビジネスパートナーとしての信頼関係が、さらなる可能性を切り拓いていく。

評価ポイント

自社技術とアートによる新しい持続可能な仕組みを創出し、社会課題解決と経済活動の両立に貢献している。
社員が新たなビジネスモデルに参画することで人財育成につなげ、さらなる支援へと発展が期待できる。

企業プロフィール

本社所在地:東京都文京区
創業年:1900年
資本金:1,049億8,600万円
従業員数:54,336名(連結)
主な事業:「印刷テクノロジー」をベースに情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクス分野で事業展開
URL:https://www.toppan.co.jp
(2022年3月現在)

受賞スピーチ

凸版印刷株式会社 代表取締役副社長執行役員 大久保伸一 様

無限の可能性の花を開くお手伝いができるのはこの上ない喜び

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[優秀賞]すごいやん!この空間賞

一般財団法人おおさか創造千島財団

MASK-見せる収蔵庫-の運営

活動内容

おおさか創造千島財団は、創造活動の拠点提供などを通じて芸術・文化活動を支援し、関西の芸術文化の発展に寄与するとともに、地域の新たな魅力と価値を創造することを目的として設立された。
今回受賞したMASK[MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA]は、大阪の北加賀屋にある鋼材加工工場・倉庫跡を活かし、場所の制約を受けやすい大型作品の制作から保管、展示をワンストップで行える“見せる収蔵庫”として運営する活動。アーティストが創造活動をしやすくするだけでなく、地域の創造環境醸成にも寄与している。
保管作品は「Open Storage」という無料展覧会で定期的に一般公開。大型作品は再展示が難しいといわれるなか、何度も鑑賞する機会を設けている。「Open Storage 2021 -拡張する収蔵庫-」では、収蔵する6名の現代美術作家の大型作品展示に加えて、新たに参画した1名が長期保存可能な大型作品を現地で滞在制作をして披露し、鑑賞者が自ら作品を体験することを可能とした。
大型作品のインパクトの強さは、日ごろ現代美術になじみのない地元の人たちをも惹きつけ、鑑賞を促すことに成功。今回で8回目の開催となり、リピーターの満足度も大きく向上している。
そのほか、普通の美術館では安全管理などの制約で困難といわれる鑑賞者が自ら作品を体験することも、制作場兼展示会場ならではの強みを活かして実現することができた。
鑑賞にあたっては、京都芸術大学と協力し、独自の作品鑑賞プログラムを開発。老若男女が現代アートに親しみを持つためのはじめの一歩となる鑑賞機会を創出。さらに近隣小学校に向けては、特別訪問授業を実施し、地元の子どもたちが優れた現代作品を身近に感じられる場として好評を得ている。

評価ポイント

工場街という地域性と活動特性を活かした独自の方法で、アートと地域の活性化に貢献。
鑑賞者に制作の過程にも接する機会を創るなど、見せ方や体験でインパクトを与えている。

団体プロフィール

団体所在地:大阪府大阪市
設立年:2011年
正味財産:1億1,962万円
職員数:2名  ※母体企業からの出向
主な事業:芸術・文化活動拠点の企画・開発・運営、公募型助成事業、ウェブメディアの運営、機関紙の発刊など
URL:https://chishima-foundation.com/
(2022年3月現在)

受賞スピーチ

一般財団法人おおさか創造千島財団 理事長 芝川能一 様

設立100周年記念に設立した財団、今後ますます頑張りたい

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[優秀賞]DXみとくんなはれ賞

サントリーホールディングス株式会社/公益財団法人サントリー芸術財団

「デジタルサントリーホール」、「まるごといちにち こどもびじゅつかん!オンライン」 を中心とするサントリーホール・サントリー美術館のDX推進

活動内容

1923年に日本初のモルトウイスキー蒸溜所の建設に着手し、近年ではプレミアムビール市場創出、ハイボールブームの仕掛けづくりなど、さまざまなイノベーションを起こし常に新たな価値を創造してきたサントリー。期待を超えるモノやサービスを生み出すため、近年ではグループ全体でDX推進を掲げ、デジタルの力を活用し顧客価値を高めていく、顧客起点の思考をさらに推進している。
そうした方針のもと、サントリーホールでは開館35周年の記念事業の一つとして、DX推進の活動基盤となる新プラットフォーム「デジタルサントリーホール」を2021年4月に開設。コンサートのオンライン配信をはじめ、ステージや楽屋などを3D映像で巡ることができるバーチャル バックステージツアー、オンラインイベント、過去の公演アーカイブ、オンラインショップなど、質の高いコンテンツを展開している。距離・時間・言語を超え、世界中からホールを身近に体感できるデジタルならではの楽しみ方を提案し、同年12月までのユニーク訪問者数は16万人となった。
また、コロナ禍で芸術文化の環境が大きく変化する中、サントリー美術館においても「まるごといちにち こどもびじゅつかん!」の取り組みを強化。同イベントは館内でのプログラムとして2014年に始まり、休館日を利用して小中学生や保護者を対象に作品鑑賞やワークショップなどを行っている。2020年からはオンラインプログラムを実施し、昨年はリアルと併用して館内プログラムのライブ配信や展覧会関連動画などを期間限定で公開した。
より柔軟な方法で良質な芸術鑑賞や表現活動の幅を広げ、デジタル独自のエンターテインメントを通じて付加価値を創出している。「やってみなはれ」と背中を押す文化に、「みとくんなはれ」と新たな文化を築いていく。

評価ポイント

時代の変革期を捉え、芸術文化振興の新たな可能性に挑戦し価値を高めている。
リアルとオンラインの融合により、芸術体験の機会創出と鑑賞者の裾野を広げている。

企業プロフィール

サントリーホールディングス株式会社
本社所在地:大阪府大阪市
設立年:2009年(創業1899年)
資本金:700億円
従業員数:40,275名(グループ総数)
主な事業:グループ全体の経営戦略の策定・推進、およびコーポレート機能
URL:https://www.suntory.co.jp/
(2021年12月現在)

団体プロフィール

公益財団法人サントリー芸術財団
本社所在地:東京都港区
設立年:2009年(創立:音楽財団1969年)
正味財産:102億円
職員数:65名
主な事業:コンサート事業、展覧会事業、顕彰事業、助成事業、出版事業
URL:https://www.suntory.co.jp/sfa/
(2022年4月現在)

受賞スピーチ

公益財団法人サントリー芸術財団 専務理事 福本ともみ 様

”みとくんなはれ”と言えるような価値創造を続けていきたい

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[優秀賞]明日のキース・へリング賞

シミックホールディングス株式会社

中村キース・ヘリング美術館 国際児童絵画コンクール

活動内容

医薬品の開発・製造・販売支援など、ヘルスケアに関するビジネスを展開しているシミックホールディングスは、ブラジル巡回診療への支援や日本エイズ学会における学会賞授与など、企業理念に即した幅広い社会貢献活動を行う。2009年からは山梨県北杜市にある「中村キース・ヘリング美術館」と共催して、子どもたちを対象とした国際絵画コンクールに取り組んでいる。
美術館は、同社代表・中村和男氏が蒐集した1980年代アメリカ美術を代表するアーティスト、キース・へリングの作品を中心に「混沌から希望へ」というテーマのもと、社会への問題提起とともにその作品世界に没入できる空間となっている。生涯を通じて児童福祉教育や世界中の子どもたちとのワークショップ開催など、未来への希望と愛・平和を願ったヘリングの遺志を受けつぎ、同コンクールではアートを通して自分自身の思考や想いを自由に、無限に表現できる大切さを伝えている。
毎年4歳から18歳までの児童を対象に年齢別3部門に分け、国内外の学校や絵画教室などから平面作品を幅広く募集する。ニューヨークを拠点とするキース・へリング財団の許可を受けたコンクールとして、多様な分野で活躍する国際色豊かな審査員により、受賞作品約30点が決定。10月末に受賞式と子ども向けワークショップを行い、その後受賞作品は美術館と同社社屋に展示される。2021年度は過去最多の24ヶ国・地域から1,708点(うち海外651点)の応募があった。
グループ創業30年、美術館開館15年の節目にあたる2022年は、新たに「環境」を考えるコンクールとしてテーマをリニューアル。過去の受賞者の中からは本格的にアーティスト活動を始めた者も出てきている。今後も、今の社会課題に焦点をあて、次世代のアーティストたちの声を発信する場を提供し続けていく。

評価ポイント

独自性の高い施設とコンクールを通じて、社会課題を考え発信する場を提供している。
世界を対象にアートの裾野を拡げ、子どもたちの豊かな感性を育んでいる。

企業プロフィール

本社所在地:東京都港区
創業年:1992年
資本金:30億8,775万円
従業員数:7,646名
主な事業:医薬品に関する総合的な支援事業(開発、製造、営業・マーケティング等)
URL:https://www.cmicgroup.com/
(2022年9月現在)

受賞スピーチ

シミックホールディングス株式会社 代表取締役会長CEO 中村和男 様

未来のために子どもたちを巻き込むー今後の課題をいただいた

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[優秀賞]美を建て文化を築くで賞

株式会社竹中工務店/公益財団法人ギャラリー エー クワッド

建築・愉しむをコンセプトに次世代へ継承する本質的な美を探索する

活動内容

ギャラリー エー クワッドは、竹中工務店のメセナ事業の柱の一つ「現代の建築文化の発信」を体現したスペースとして2005年に開設された。以来、一貫して「建築・愉しむ」をコンセプトに、専門的視点にとどまらず幅広い層にも向けて、建築文化の理解と建築を通して今の社会を見据えた企画展を開催している。
2021年度は「樹の一脚展 人の営みと森の再生」「オリガミ・アーキテクチャー 一枚の紙から世界の近現代建築を折る展」「社会のダイバーシティを考える 立つ、歩く、走る-義足でこえる心の壁展」「天平の匠に挑む 古代の知恵VS 現代の技術展」「石川直樹 STREETS ARE MINE展」を開催。テーマは歴史・伝統、自然環境、子ども・未来、デザイン&アートと領域を広げ、近年は海洋ごみや女性の生き方、月での暮らしなど、多岐にわたり人や物事の姿に光をあてている。専門家の協力のもと、テーマ設定から空間設計までギャラリースタッフの手でつくりあげていることが、先見性と独創性を生み出している。
さらに、同社財団の竹中大工道具館、竹中育英会をはじめ海外機関などとの連携企画も増え、公立美術館などへのアウトリーチにも積極的に取り組む。2011年に兵庫で始まった「一脚展」は、県内の家具作家による新作椅子の展示を中心に毎年開催しているが、昨年は、「樹の一脚展」として、関東圏の循環型農業および林業に取り組む地域の事例を加えて紹介。地域材が抱える現代の課題に着目し、その雑木林で伐採された樹木を利活用した実際に座れる椅子の展示と、樹を削るワークショップなど体感型の企画として発展させた。同展は裏磐梯高原ホテル、大工道具館へと巡回している。
会期中は有識者によるシンポジウムや対談も行い、動画配信やインスタライブを通して国内外に参加者を広げる。建築を入口に、一人ひとりに身近な環境やくらしの大切さと、そこにある美しさの本質を探究している。

評価ポイント

先鋭的で独自性のある企画を通して建築文化の領域を広げ、新たな社会的価値を発信している。
財団や他団体との連携により鑑賞機会を広げ、次世代へ継承する文化を提示している。

企業プロフィール

株式会社竹中工務店
本社所在地:大阪府大阪市
設立年:1937年(創業1610年)
資本金:500億円
従業員数:7,757名
主な事業:建築工事および土木工事に関する請負、設計および監理ほか
URL:https://www.takenaka.co.jp/
(2022年1月現在)

団体プロフィール

公益財団法人ギャラリー エー クワッド
本社所在地:東京都江東区
設立年:2005年
正味財産:28億700万円
職員数:6名
主な事業:文化および芸術の振興を目的とする事業
URL:https://www.a-quad.jp/
(2022年9月現在)

受賞スピーチ

株式会社竹中工務店 取締役 名誉会長 竹中統一 様

日本の建築文化を未来に継承していけるように一層の力を注ぐ

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[優秀賞]未来を歌って踊りま賞

日本カバヤ・オハヨーホールディングス株式会社

岡山子ども未来ミュージカル「ハロルド!」

活動内容

岡山と東京を本社とする日本カバヤ・オハヨーホールディングスは、2018年より「岡山子ども未来ミュージカル『ハロルド!』」を開催している。創業者・野津克己氏は、「日本を元気にする、人々を豊かにするためなら何でもやる」という意志のもと、カバヤ食品を創業。同社のシンボルであるカバそっくりな車、「カバ車」を宣伝活動のために走らせ、食から笑顔を取り戻し、『カバヤ児童文庫』で教育から子どもたちの未来を求め、社会的意義のある活動を推進してきた。このプロジェクトは創業の原点を受け継ぎ、岡山の子どもたちの健やかな未来を願い応援する活動として、グループ14社が一丸となって取り組んでいる。
毎年、約300名の応募があるオーディションで選ばれた地元岡山の小中高等学校の子どもたち約60名が、プロの演出家およびスタッフ陣の指導を受け、一つの舞台をつくり上げる。この取り組みを通じて、仲間とのつながり、表現することの大切さ、一つの物事を完結させる達成感などさまざまな経験によって、子どもたち自身が「やりたいこと」を見つけるきっかけとなることを願い、日本の未来を担う「人」を育てていきたいという想いがある。演目は岡山県内を取材し書き下ろしたオリジナルストーリーを継続している。
開始当初より岡山県・岡山市をはじめとした行政の後援や、県内外さまざまな企業から協賛・協力を受けており、2022年公演は約350社の協力を得て、地域のさらなる活性化に向けて幅広く連携・推進している。
さらに、ミュージカル出演をきっかけに、不登校だった児童が通学できるようになるなど、大きな効果も出てきている。明るい未来に向かって、これからも地域の子どもたちの豊かな心を育んでいく。

評価ポイント

地域に根差した交流の場をつくり、子どもたちの心の豊かさを醸成している。
行政・教育機関・企業など幅広い関係者を巻き込み、地域の活性化に寄与している。

企業プロフィール

本社所在地:岡山県岡山市
設立年:2016年(創業1946年)
資本金:1億円
従業員数:55名
主な事業:持株会社
URL:https://www.kabaya-ohayo.com/
(2022年8月現在)

受賞スピーチ

日本カバヤ・オハヨーホールディングス株式会社 代表取締役社長 野津基弘 様

子どもと一緒により良く生きていくことを目指し頑張っていく

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