メセナアワード

メセナ大賞2003

メセナ大賞

財団法人常陽藝文センター

郷土の芸術・文化の発掘と普及―20年目の挑戦

活動内容

財団法人常陽藝文センターは、1982年、常陽銀行の創立50周年記念事業の一環として設立された。当時、頭取であつた青鹿明司氏(現・財団会長)の「芸術文化活動の核になる施設をつくり、県民の皆さんに奉仕したい」との理念に基づくものであり、翌1983年には水戸市に常陽第百郷土会館を開館して、多彩な事業を展開している。
1階の藝文ギャラリーでは、郷土ゆかりの美術作家の個展を年8回開催。2階の教室では、社会人の学習の場として「藝文学苑」を開講、一般教養・文学・創作など90講座100クラスを設けており、年間の受講者は6,200人余を数える。7階には302席のホールがあり、年数回のコンサートを開催するほか、一般の発表会にも貸し出す。ほかにも4階アリーナや3階会議室は、さまざまな催しや集会に利用されている。
同センターの友の会会員は、茨城県内に約4万7,000人を有する。会員サービスとして、県内各地の公共ホールでコンサートを開催したり、移動教室や企画旅行をおこなうほか、毎月発行の機関誌『常陽藝文』を配布。毎回、茨城の歴史・文化・風土を掘り下げる特集を組んでおり、郷土文化を紹介する冊子として高い評価を受けている。すでに通巻246号を超え、発行部数は年間66万5,000部にのぼる。さらに∨TR事業としても、県内の伝統行事や歴史的遺産、郷土作家を取り上げるなど、これまでに106本のビデオを自主制作している。
1995年には、地域の金融と貨幣の歴史を紹介する常陽史料館を開設。常設展・企画展をおこなうとともに、史料ライブラリーを設け、郷土史料を中心に約2万5,000冊の蔵書を公開している。これらの事業を運営するために、学芸員、司書などの有資格者を含む総勢37名のスタッフを配置、長年にわたる真摯な取り組みで地域文化の振興に貢献してきた。

機関誌『常陽藝文』ほか

機関誌『常陽藝文』ほか

評価ポイント

地域に根ざした多岐にわたる活動は、地域文化振興のモデルケースとなる。
NPO法人の活動に職員の参加を促し、地域社会と結びつく発展的な拡がりが見える。

団体プロフィール ※[ ]内は常陽銀行のデータ

財団所在地:茨城県水戸市
設立年:1982年[1935年]
基本財産:5億円 [資本金:851億1,300万円]
職員数:37人 [3,766人]
業種:財団 [銀行]
URL:http://www.joyogeibun.or.jp/
(2003年3月現在)

地域文化賞

株式会社松明堂書店

松明堂書店ギャラリー・音楽ホールの活動

活動内容

1966年に東京・小平市たかの台駅前商店街に店を構えた松明堂書店は、1987年の改装の際、地階に約40㎡の多目的スペースを開設した。社長はじめ社員がおもしろいと思う美術や写真の展覧会を自主企画していくうちに、音楽やパフォーマンス、映画上映会など、多岐にわたる分野のアーティストが集う場となり、アーティストと地域住民、アーティスト同士の自然な交流が続いている。これまでの約15年間で手掛けた自主企画は350件を超え、それらを通じた広いネットワークが形成されている。
松明堂書店の社長・松本昭氏は、活気ある店づくりが地域づくりに発展していくことを望んでおり、文化活動の拠点が人々の出会いの場となることをめざしているという。その影響か、商店街の喫茶店でも作品を展示したり、近隣にギャラリーができるなどの動きも出てきた。買い物途中の地元の人たちが、気軽にアートに出会える環境が生まれてきている。
1997年には、新所沢駅近くのビル地階に「松明堂音楽ホール」を開設。これを機に、たかの台のスペースを「松明堂ギャラリー」と称して、それぞれ美術と音楽の分野に特化した活動を展開するようになる。ギャラリー、音楽ホールとも専従のスタッフを擁し、独自の催しだけでなく連携した企画もおこなつている。
松明堂音楽ホールは、ヨーロッパの古楽器や民族楽器を楽しむ場として設計された最大100名収容の小ホール。木の長椅子が並ぶ空間は、染布やブロンズなど多彩な作品に囲まれ、フレンチスタイルのチェンバロとグランドピアノが置かれている。こうした贅沢な空間で、国内外から演奏家を招いたコンサートを年6回ペースで開催するほか、コンサートや練習にも貸し出し、新たなフアンも増えてきた。今後さらに、アーティストや地域住民の交流の輪が広がることを期待したい。

評価ポイント

アーティストや地域住民の自然な交流の場ができている。
活動が段階的に発展し、個性的な空間と企画でファンを集めている。

松明堂音楽ホール

企業プロフィール

本社所在地:東京都小平市
設立年:1966年
正味財産:1,000万円
従業員数:7人
業種:書籍販売
URL:http://shomeido.jp/
(2003年3月現在)

舞台芸術牽引賞

財団法人セゾン文化財団

現代演劇・舞踊への助成

活動内容

セゾン文化財団は、現代演劇・舞踊への助成事業をおこなうことを目的に、1987年、堤清二氏の出捐により設立。以来、(1)次代を担うアーティストの創造活動に対する長期的な支援、(2)資金助成のみでない複合的な支援、(3)芸術活動を支えるインフラストラクチャーの整備・改善への取り組み、の3方針にもとづいて多様なプログラムを展開してきた。
助成事業の中核である「芸術創造活動」プログラムは、演劇・舞踊団体の創造活動に対して3年間継続して助成をおこなうもので、1992年にスタート。これは当時、ハード優先の文化行政や企業による冠公演、単発的なサポートが主流であったことから、より中長期的なスタンスに立った創造への支援を志したものである。
同プログラムでは、ひとつの団体につき年間300~ 500万円を3年間にわたり支給。再応募も認め、最長6年間の継続的な助成をおこなってきた。これまで対象となつた団体は26件あり、いずれも、今日の演劇・ダンスシーンの中核的な存在として国内外に活躍の場を広げている。
同時に芸術活動を支えるインフラ整備にも努めており、「創造環境整備活動」プログラムとして、アーツマネジメントの留学・研修や調査研究などにも助成をおこなってきた。国際交流の促進についても、日本の現代演劇・舞踊に関する会議やシンポジウム、翻訳出版への助成、国内外での共同創造事業などへの支援をおこなっている。
1994年には、江東区に「森下スタジオ」を開設。助成先を中心に稽古やワークシヨップの場として貸与するほか、各種セミナーなど情報交流の場として活用している。2000年からは、外部団体との共催事業である「セゾンシアタープログラム」を開始、他企業との若手振付家育成プログラムや、公共ホールとの舞台技術者養成講座を実施するなど、総合的な取り組みを展開している。

評価ポイント

助成事業とともに場を提供するなど、複合的な支援がおこなわれている。
演劇・舞踊団体の創造面を支え、リードしてきた功績は大きい。

遠藤康行ワークショップ発表会 (森下スタジオ)

遠藤康行ワークショップ発表会 (森下スタジオ)

財団プロフィール

財団所在地:東京都中央区
創立年:1987年
正味財産:101億9,838万円
職員数:7人
URL:http://www.saison.or.jp/
(2003年3月現在)

芸術環境創出賞

財団法人ポーラ美術振興財団

美術分野における助成事業と美術館事業の展開

活動内容

ポーラ美術振興財団は、1996年5月、当時のポーラグループの総帥、故・鈴木常司氏の出捐により設立された。当初より、美術分野における助成事業をおこなうとともに、2002年9月には箱根にポーラ美術館を開館して、その運営にあたっている。
助成事業は、(1)若手美術家の在外研修、(2)美術館職員の調査研究、(3)美術に関する国際交流の3分野を対象としている。若手美術家の在外研修助成は、一人あたり340万円を上限に毎年18名程度を選出。美術家の海外派遣に対する支援そのものが他にあまりないため、多数の応募が寄せられる。学芸員の調査研究、ならびに国際交流プログラムについては、1件あたり200万円を上限にそれぞれ12件程度を助成しており、毎年の助成総額は約1億円におよぶ。
一方の美術館事業については、鈴木常司氏が40数年にわたり収集してきた美術作品を公開したいとの構想を具現化したものである。自然に恵まれた場所で、ゆったりと美術に触れてもらいたいとの思いから、箱根・仙石原の地を選定。「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトに、建物は木々の間に隠れるように設計し、敷地内には新たにブナやヒメシャラを植樹するなど、周囲の環境に最大限の配慮がなされている。
美術館の開設にともない、鈴木常司氏からは個人コレクションがすべて寄贈され、ポーラ企業所蔵の作品も寄託された。総数9,500点を超えるコレクションのうち化粧道具の類が6,000点余を占めるが、特に西洋近代洋画のコレクションに評価が高く、モネ、ルノワールなどの19世紀フランス印象派絵画をはじめ、ポスト印象派やエコール・ド・パリの画家たち、ピカソ、カンディンスキーら20世紀絵画までが中核をなす。同館では、これら所蔵作品による企画展を年3回開催しており、多くの来館者を集めている。

評価ポイント

若手美術家や学芸員など人材育成の環境づくりに取り組んでいる。
豊かな自然のなかで美術と出会う場を創出している。

ポーラ美術館

ポーラ美術館

団体プロフィール

財団所在地:東京都品川区
創立年:1996年
正味財産:136億円
職員数:16人
業種:財団
URL:http://www.pola-art-foundation.jp/
(2002年3月末現在)

新領域開拓賞

トヨタ自動車株式会社

「トヨタコレオグラフィーアワード」の実施

活動内容

「卜ヨタコレオグラフィーアワード」は、次代を担う振付家の発掘およびそれを取り巻く環境の活性化を目的に、トヨタ自動車と世田谷パブリックシアターの提携事業として2001年に創設された。ダンス支援に積極的に取り組む同社の担当者が、よりアーティストのステップアップにつながる仕組みをつくりたいと発案、それまでの経験と人脈を活かして実現したものである。
同アワードでは、年齢やジャンルを問わず、自らの振付作品を発表した経験のある人を対象に、作品を収録したビデオテープを公募する。2001年、2002年とも200件を超える応募があり、そのなかから7人の選考委員により8名の振付家を選出。選ばれた振付家は最終審査会となる「ネクステージ」で30分以内の作品を上演し、舞踊家・天児牛大氏を委員長とする4人の審査委員により、「次代を担う振付家賞」が1名に贈られる。
選考委員には各地のホール関係者やプロデューサーを起用し、審査委員は欧米のダンス界で活躍するディレクターに依頼。これも、このアワードをきっかけとして活躍の場を広げてほしいとの意図による。
「ネクステージ(=nextage)」とは、「ネクスト・エイジ」と「ネクスト・ステージ」を掛け合わせた造語で、実際の舞台は世田谷パブリックシアター内のシアタートラム(225席)である。受賞者には、次年度、シアタートラムにおける新作または受賞作品の発表の場が提供されるとともに、その作品制作費の一部として100万円が授与される。
2日間にわたる最終審査会は一般に公開され、本賞のほかに、観客の投票による「オーディエンス賞」で2名の振付家が選出される。自分の好きな振付家を選べるというアワードヘの参加意識も手伝って、両日のチケットは発売早々に完売するなどダンスファンの注目を集めている。

評価ポイント

新しい才能の発掘と紹介、ステップアップの仕組みが築かれている。
長年にわたるダンス支援の経験と人脈が活かされている。

2003年「時代を担う振付家賞」 黒田育代

2003年アワード受賞黒田育代振付『SIDE B』@鈴木紳司

企業プロフィール

本社所在地:愛知県豊田市
創立年:1937年
資本金:3,970億円
従業員数:65,551人
業種:自動車製造業
URL:https://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/social_contribution/index.html
(2003年3月現在)

新世代支援賞

ホルベイン工業株式会社

第17回「ホルベイン・スカラシップ」の実施

活動内容

「ホルベイン・スカラシップ」は、同社の画材を1年間、若手アーティストもしくは美術家をめざす人に無償提供するもので、1986年にスタートした。
当初は、油絵の具にくらべて歴史の浅いアクリル絵の具の幅広い活用による可能性を広げたいとの目的で、100名に10万円分のアクリル絵の具を支給していた。だが、次第にアーティスト支援の側面が強くなり、第10回からは、ホルベインの全製品について50万円相当を、奨学者として選んだ20名の希望に応じて提供している。
毎年6~9月の募集期間には、300~350名ほどの応募が寄せられる。若手アーティストの支援を目指すことから、20~45歳までという年齢制限はあるが、絵の具を使うのであれば絵画に限らず立体作品でもよい。作品の写真と活動プロフィール等をもとに、専門家からなる選考委員会で奨学者20名を決定。11月から翌年10月までの1年間がスカラシップ期間となる。油彩、アクリル、水彩絵の具、パステルといつた色材をはじめ、ホルベインの全製品が対象であり、奨学者はそれぞれがほしい製品を選ぶことができる。また素材や技術面での問い合わせに対しても、同社の技術スタッフがアドバイスするなど、彼らの制作活動を全社的にバックアップしている。
また、奨学者の作品とレポートをまとめた『アクリラート別冊』を3,000部発行。全国の美術館や画廊、美術大学など関係者に幅広く無料配布してアーティストの紹介に努める。さらに、スカラシップが修了した後の活動についても、引き続き技術的な相談に応じたり、美術館でのワークシ∃ップなどに画材提供をおこなうなどの支援をしている。
2002年までに17回を数える「ホルベインスカラシップ」の奨学者は延べ858名におよび、現在の美術界で活躍するアーティストも多い。

評価ポイント

自社製品や技術力を活かして多くの若手アーティストを支えてきた。
スカラシップ修了後に冊子を発行するなど、アフターケアがある。

『アクリラート別冊』と募集要項

『アクリラート別冊』と募集要項

企業プロフィール

本社所在地:大阪府東大阪市
創立年:1946年
資本金:8,000万円
従業員数:130人
業種:製造業
URL:https://www.holbein.co.jp/
(2003年3月現在)

児童文化貢献賞

株式会社ジャパンエナジー
「JOMO童話賞」の実施

「JOMO童話賞」の実施

活動内容

「JOMO童話賞」は、1969年*、アンデルセン童話などを一冊の本にまとめて顧客に配布したことがきつかけで始まつた。翌年から創作童話を一般公募し、受賞作品を絵本『童話の花束』として発行。数ある童話コンテストのなかでも最古のもので、2002年で33回目を数える。
創作童話のテーマは「心のふれあい」。未発表の作品で2, 000字以内とし、―人2編まで応募を受け付ける。国内のみならず海外在住の人からも応募があり、2002年度は、一般の部:8,967編、児童の部(小学生以下):564編、あわせて9,531編の作品が寄せられた。この応募件数についても、他の童話コンテストを大きく上回る。
選考委員会は西本鶏介氏(児童文学者)、立原えりか氏(童話作家)、岸田今日子氏(俳優)ら5名の審査員に、ジャバンエナジーの社員が加わる。最終選考会で一般の部:23編、児童の部:10編の受賞作品を決定し、最優秀賞・優秀賞佳作作品については『童話の花束』に収録。11月の授賞式で発表する。
作品集『童話の花束』は、毎年28万冊を刊行。そのうち約1万冊は、全国の福祉施設や母子家庭に贈呈。あとは一冊100円として、全国JOMO会(特約店の全国組織)、全国LPガスJOMO会(LPガス特約店の全国組織)を通じて買い上げてもらい、売上金を「JOMO童話基金」に組み入れている。JOMO童話基金は、JOMOグループで1992年に共同設立したもので、売上金約2, 000万円はすべて全国社会福祉協議会に寄付して、児童福祉に役立てている。社内にも作品集を買い上げる人があり、社員からの寄付は毎年20万円ほどとなる。
一般の人々の童話の創作活動を応援するだけでなく、作品集の贈呈やJOMO童話基金による寄付をおこなうなど、社会貢献としても意義深い取り組みがなされている。
*当時は共同石油

評価ポイント

長年にわたり、童話創作に励む多くの人たちの作品を紹介してきた。
寄付の仕組みが工夫されており、幅広い活動で児童文化に貢献している。

「童話の花束」

『童話の花束』

企業プロフィール

本社所在地:東京都港区
創立年:2003年(創業1905年)
資本金:200億円
従業員数:約2,700人
業種:石油
URL:https://www.hd.eneos.co.jp/hanataba/
(2003年10月1日現在)

継続の力賞

出光興産株式会社

「題名のない音楽会」の継続提供

活動内容

毎週日曜日の朝9時から放映されるテレビ番組「題名のない音楽会」は、1964年、出光興産の単独スポンサーとしてスタートした。当初より、国内のオーケストラ起用を軸に、日本の作曲家や指揮者、演奏家らを積極的に紹介してきた。
「高尚なクラシック音楽をお茶の間に」わかりやすく伝える一方で、邦楽、民族音楽、さらには映画音楽、ポップスなど多岐にわたるユニークな企画が好評を得て、2004年には40年の節目を迎える。すでにテレビ朝日の長寿番組として定着し、オンエア数は通算約1,900回を数えた。
番組の開始当初より、多くの方にライブで音楽を楽しんでもらえるよう、公開収録形式を採用。現在は主に都内の音楽専用ホールで、毎回約1,500人の視聴者を招待しており、これまでの参加者累計は100万人を超える。また、出光興産の製油所など事業所が立地する地方への出張公演も実施。その際には、地域に伝承される音楽
の紹介や、地元出身のアーティストを起用するなど、上質かつ親しみやすいコンサートを全国に届けている。
1990年には、番組25周年を記念して「出光音楽賞」を創設。これはクラシック音楽を中心に、今後が期待される若手音楽家の支援を目的とした顕彰事業である。原則30歳以下の音楽家を音楽関係者から推薦してもらい、5名の選考委員により「意欲・素質・将来性」を鑑みて選出。受賞者には奨学金300万円を贈呈するほか、番組内でガラ・コンサートを紹介するなど、活動の幅を広げる機会を提供しているのも大きな特徴である。これまでに55人の受賞者を輩出してきた。
初期からの司会者であった黛敏郎氏の逝去後も、番組の精神は引き継がれ、2001年からは4代目の司会者として羽田健太郎氏を迎えた。今後さらなる新機軸を打ち出し、長寿番組に新たな息吹がもたらされることを期待している。

評価ポイント

ユニークな番組内容で、音楽ファンを増やした功績は大きい。
番組提供と新進音楽家の顕彰事業がうまく連動している。

「題名のない音楽会」

「題名のない音楽会」

企業プロフィール

本社所在地:東京都千代田区
創立年:1911年
資本金:388億円
従業員数:3,306人
業種:石油
URL:https://sustainability.idemitsu.com/ja/themes/436
https://www.tv-asahi.co.jp/daimei/

文化庁長官賞 [2003年新設]

財団法人常陽藝文センター

「藝文友の会」を通じた常陽銀行の社員、家族に対する文化芸術に親しむ機会の提供

活動内容

財団法人常陽藝文センターは、1982年、常陽銀行の創立50周年記念事業の一環として設立された。当時、頭取であつた青鹿明司氏(現・財団会長)の「芸術文化活動の核になる施設をつくり、県民の皆さんに奉仕したい」との理念に基づくものであり、翌1983年には水戸市に常陽第百郷土会館を開館して、多彩な事業を展開している。
1階の藝文ギャラリーでは、郷土ゆかりの美術作家の個展を年8回開催。2階の教室では、社会人の学習の場として「藝文学苑」を開講、一般教養・文学・創作など90講座100クラスを設けており、年間の受講者は6,200人余を数える。7階には302席のホールがあり、年数回のコンサートを開催するほか、一般の発表会にも貸し出す。ほかにも4階アリーナや3階会議室は、さまざまな催しや集会に利用されている。
同センターの友の会会員は、茨城県内に約4万7,000人を有する。会員サービスとして、県内各地の公共ホールでコンサートを開催したり、移動教室や企画旅行をおこなうほか、毎月発行の機関誌『常陽藝文』を配布。毎回、茨城の歴史・文化・風土を掘り下げる特集を組んでおり、郷土文化を紹介する冊子として高い評価を受けている。すでに通巻246号を超え、発行部数は年間66万5,000部にのぼる。さらに∨TR事業としても、県内の伝統行事や歴史的遺産、郷土作家を取り上げるなど、これまでに106本のビデオを自主制作している。
1995年には、地域の金融と貨幣の歴史を紹介する常陽史料館を開設。常設展・企画展をおこなうとともに、史料ライブラリーを設け、郷土史料を中心に約2万5,000冊の蔵書を公開している。これらの事業を運営するために、学芸員、司書などの有資格者を含む総勢37名のスタッフを配置、長年にわたる真摯な取り組みで地域文化の振興に貢献してきた。

評価ポイント

本年より新たに「文化庁長官賞」が創設された。
初の贈賞となる今回は、財団法人常陽藝文センターによる標記の活動が対象となつた。同センターでは約4万7,000人の「藝文友の会」を組織し、会員を対象としたコンサートや移動教室などをおこなっている。これに常陽銀行の職員・家族・OB約4,000人が参加。同行の職員数が約3,700人であることから、非常に高い割合で社員やその家族に文化芸術活動への参加機会を提供している点が評価された。

「藝文友の会」会員向け企画旅行

団体プロフィール ※[ ]内は常陽銀行のデータ

財団所在地:茨城県水戸市
設立年:1982年[1935年]
基本財産:5億円 [資本金:851億1,300万円]
職員数:37人 [3,766人]
業種:財団 [銀行]
URL:http://www.joyogeibun.or.jp/
(2003年3月現在)

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